3話 星の見守る空の下
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んで来ようとしている。エドアルドが聴いた騒がしい音というのは、その兵士たちがせわしなく動き回っている音だった。きっと今ごろ、何が起きたのかを確認するべく準備を整えているのだろう。二つの魂から得た情報によれば、五十の兵士が乗り込んでくる予定になっている。それでいて外は王城であり、当然ながら防御は硬い。
そんな事になる前に……と、エドアルドは魂の吸収を急いだ。
赤、青、緑、黄、桃、茶……カラフルな粒子が舞い、そのたびに知識と力が増えていく。その中に白い魂が無かったのは当然のことで、白色が何よりも珍しいというのもその辺に転がる魔法使いたちの知識。
「これ、僕の力がコレじゃなかったら……大変だっただろうな」
最後の一つが自分の体に染みこんでいくところを確認しながら、小さな呟きを漏らした。
確かに、エドアルドが元より持っていた白い粒子の力が無ければ、まだ言葉すら解らずに呆然としていたに違いない。力を吸収できるのは万人の常識だが、魂の記憶や知識を吸収できるのは彼だけの特殊能力なのだ。
白い粒子には不思議な力の中でも更に得意な力が宿る。それもまた、辺りに転がる魔法使いたちの知識。もちろん個々の力を他人が知るはずもなく、まだ隠された力があるかも解らないが……ともかく、自身の力が他人の魂のデータを読み取る物だということは理解できた。
「さて……」
そう呟いて上を見た途端――大きな音を立てて壁の一部が吹き飛んだ。
聴こえてくるのは一つの掛け声と、それから無数の金属が擦れる音、あとは無数の足音。そこそこ重装備の兵士たちが壁に沿う螺旋階段を駆け下ってきている。
少なくとも百人は居るだろう。しかし階段は、どうにか一人が通れるくらいに狭いもので、ここに来るまでには相当な時間が必要なように思える。
もちろんそんな長い時間を呆けて待つ必要も無く、エドアルドはスーツの力を借りて一気に跳躍した。
魔法という力により作られたこの大きな空間は、スーツの力を持ってしても一飛びで上までたどり着くことは出来ないほどに高い。それこそ元の世界にあった高層ビルと同じくらいに。だから彼は壁を蹴ることで上への推進力を手に入れる。
「お、おい! 何か飛んでるぞ!」
その壁を蹴る音に反応して、兵士たちはエドアルドの姿を認識した。
「な……何だアイツは。人か? 魔物なのか?」
しかし彼らが見たのは、顔から足まで、全身余すところ無く真っ黒いスーツに覆われた人型だ。『魔物』と呼ばれる異形の生物が居るこの世界では、そんなエドアルドの姿を見て人間だとは思えなかったのだろう。
兵士たちは迷うこと無く剣を構えた。『魔物』であれば、言葉を交わす必要もない。なにより言葉を交わし合うことは出来ない。そんな判断の元に、彼らは自国の脅威と
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