3話 星の見守る空の下
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粒子に、世界を変えてしまった罪を背負って貰うことで発揮される力。
元の世界には無かった世界の常識に、エドアルドは珍しく興奮していた。何と言っても、彼は結局年頃の青年なのだ。
炎を握りつぶすようにして魔法を解除すると、エドアルドはその辺に落ちている肉塊から魂を取り出していく。この世界の生き物はどんな者であっても、一つ以上の魂を体内に持っている。もちろんそれはエドアルドとて例外ではない。もちろん前の世界ではありえないことだったが、いま体内スキャンをしてみれば心臓あたりに異常が――白い結晶の姿が認められるはずだ。
そして身体の中に結晶化した魂を持つ物は、他の魂を吸収することで、魂の中に宿っている力をも獲得出来るのだ。先ほどエドアルドが炎を出したのは、黄色い魂を吸収したおかげだった。
もちろん何も制限が無いはずはなく、基本的に同じ色の魂を取り込まなければ、元の魂は別の物へと変わってしまう。つまり、エドアルドであれば人ではなくなってしまうということ。
それではエドアルドの魂は黄色なのかと言われれば……そうではない。彼の魂は先程の通り、一切の濁りすらない『白色』だ。
しかしその力によって、全てを知っているはずのエドアルドは……いや、全てを知っているのにエドアルドは、何の恐れもなく拾った『赤』の魂を手のひらに置いて願う。
――灯れ。
瞬間、エドアルドから漏れでた白い粒子が、赤の魂を絞る。
その魂が経験してきた出来事、記憶、そして力の中身まで。その全てを絞り出し、砕き、凝縮して、白い粒子はエドアルドの中へと戻って行った。
「なるほど……これで」
握りしめた拳を目線の高さで掲げ、じんわりと赤い粒子が漏れ始めたかと思えば……そこにパチッとした音とともに閃光が走った。たったわずか、それこそ瞬きでもしていたら見逃してしまうほどに小さなものだが、今は確認の為の試しだ。やろうと思えば戦いに使えるくらいの電力を生み出すことはできる。
エドアルドによって呆気無く殺されてしまったとはいえ、それでもここにいた者たちは国を代表する魔法使いたちだったのだ。その力を受け継いだ(奪いとった)のだから、それなりの力を手にできるのも当然のこと。
加えて白い粒子の特異性が、彼に大きく味方していた。
「さて、上が騒がしくなってきたし、どんどん吸収してしまうか」
チラリと視線を上に向けて、それからすぐに集めた結晶へ戻す。
さすがに王城の地下ということもあって、この場所は充分に警戒されている。なによりこのメラクリオという国にとって、時空転移魔法の研究は一大事業だったのだ。内容も内容だけに、何が出てきてもいいよう兵士がずっと気を配っていた。
そして中からの連絡がなくなった今、上にいた兵士たちはこの広間へ乗り込
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