第一部
1章:新天地の旅
2話 始まりの光
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うなるとここにいる男たちは魔道士だろうか。確かに足首まで隠す長いローブを纏っていて、一部の者は杖まで手にしているからその可能性は高い。
少し部屋を見回してそんなことを考えていると、さっきまで喜び一色だった魔法使いらしき者たちの中に疑心が広がった。
「jgjeiso?」
小声で何やら相談を始め、チラチラとエドアルドの方を伺う。これがエドアルドの理解できる言葉だったのなら、彼らの考えていることを完全に把握することが出来ただろう。しかし残念ながらそれは叶わず、またしてもエドアルドは首をかしげざるをえない。
「keksi! kkeenssai!」
それから一分も経たず一つの怒声が響いたかと思うと、今度は困惑気味だった視線を鋭く光らせて、魔法使いらしき人々はみんなエドアルドの方へ向いた。そして、
「keosi……」
何故か全員が右手をエドアルドの方へかざす。
すると人々の体が様々な色に発光を始め、その光が粉のような物質となって部屋の中を舞い始める。
「hu!」
掛け声とともに伸ばされた手から大量の炎が放たれた瞬間――エドアルドは一気に跳躍していた。
天上の高さが幸いし、まずは一気に上まで上がった彼は、自分を囲んでいた魔法使いたちの集団の最後列へ音もなく着地する。そして、とつぜん獲物が消えたことに驚き周囲を見回している者の一人を、即座に切り払った。
胴体に線が走り、男の切り離された上部分がずり落ちる前に、もうエドアルドは次の魔法使いを捉える。
首を斬り、胴を斬り、頭頂から股まで剣を通し、混乱に混乱を極めている男たちを殺す。もはやその部屋に響くのは悲鳴と恐怖に慄く呟きだけになって、ただ逃げ惑う彼らからの反撃もなく、エドアルドにしてみれば何てことはない自衛行為となった。
――何だってんだよ、まったく……。
視界の中に動く者がいなくなったところで剣大きく振るい、べっとりと張り付いた血を落とすと、辺り一面に横たわっている男たち――いや、単なる無数の肉の塊へ視線を落とす。
「ん?」
何気なく向けた目の先……左脇から右腹までを袈裟懸けに切り取られた肉塊の胸の部分に、エドアルドは黄色く煌めく何かを見つけた。思わず近寄って見下ろしてみると、断面から零れ落ちそうになっている心臓に、何やら透き通った黄色い石のようなものが付いていることがわかる。大きさはビー玉くらいのもので、しかしそれよりもっとゴツゴツと野生的だ。
「宝石……か?」
その輝きに目を奪われ、エドアルドは幽霊に手を引かれているかのように、その石を取った。ブチブチと張り付いていた心臓から引き離し、手のひらに乗せてまじまじと見つめてみる。
「特に何も……ッ――」
何の変哲もない石かと、そう思って放
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