第一部
1章:新天地の旅
1話 世界を跨ぐ梯子
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あ油断など無くとも回避はできぬ事故ではあった。
「ん?」
暫くしてエドアルドは、自身の体に不思議な光が纏わりついていることを知覚する。
時速何百メートルというほどの速さで動いているはずなのに、一切の遅延なく追従してくる光。少し速度を落としてみても離れる様子は無く、むしろそれはどんどんと大きくなっているよう。
「なんだこの光……」
海上ということもあって、空に壁はない。そう考えると一番最初に思い浮かぶのは、はるか天高くから攻撃を加えてくる衛星軌道上の兵器である。
――そんな情報聞いてないぞ。
きっと事前に連絡があったのなら、彼も海上から脱出するという手は取らなかったはずだ。
多少時間はかかろうとも、地上を跳んで帰ったほうが安全だっただろう。さすがの敵も、衛星兵器が自国に被害を出すことは看過できないはずだから。
――陸地に……いや、間に合わない。
わざわざ陸から離れるように動いていたことが裏目に出ていた。
みるみるうちに光は膨らみ、もはやいつ何が起きてもおかしくはない状況。遠くに見える陸地にたどり着くことなど叶うはずもなく、彼は素早く一つの決心を固める。
「こちらジャッカル。こちらジャッカル。敵国海上にて謎の光に補足された。新型衛星兵器の恐れあり。国への被害を抑えるため、このまま海上にて待機する。確認頼む」
〈一CO〇〇了解。幸運を……〉
流石のオペレーターも少々慌てた様子を隠しきれない様子で、任務中の青年から突然舞い込んだ報告を受けた。その声を聞いたところで小さな笑みを見せると、エドアルドは前に進むのをやめ、しかし止まってしまっては沈むだけなので円を書くように動き続ける。
――思えば、僕は拾われてから人を殺してばっかりだったなぁ。
彼の脳裏に浮かぶ走馬灯。その中にあるのは、ただただ真っ赤な惨劇の景色だけ。
戦場で拾われ、軍に回収されたと同時に地獄のような訓練を課される。同胞を殺し、自分を殺し、ついに大人になっても結局は戦争の駒。作戦後の休息という短いひとときだけが、彼の自由だった。
――僕の死を悲しんでくれる人は……いないだろうなぁ。
関わる者の全てが兵士であり戦争の駒であった彼に、弱音を打ち明けられるような、お互いに目を光らせる必要の無いような、気のおけない『友達』などいない。いつ誰が裏切るかわからない状況で、いっときも油断を見せられない仲間しかいなかったのだ。
光はそんな彼の闇を浄化するように、輝きを更に増していく。
そして――
――ああ、まるで天国へ続く梯子みたいだ。
エドアルドを包んでいた光は天へと登り、浮遊感を感じ始める彼の意識を真っ白に染め上げた。
□□□
『|天国への梯子《ヘ
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