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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
困ったチャン騒動記(3)
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奴らにとって俺は御邪魔虫なのだ。エーリカを未亡人にしてはいかん。

エーリカを見た。豪奢なドレスとアクセサリーなのだが、それが少しも不自然に見えない、完全に着こなしている、うなじが細い、産毛一本見えないうなじに吸い寄せられそうな気がした。いかん、気をつけろ、これは罠なのだ。

憲兵隊におけるエーリカの影響力は半端ではない。元々憲兵隊にいたことも有ったが、ケスラーが憲兵隊総監になってから国内治安維持においてその相談役、参謀になっていたのはエーリカだった。

ケスラーは有能な男だが、私生活ではロリコンで十歳以上歳が離れていないと関心がもてないという困ったチャンだ。エーリカはケスラーの好みの女性だった、もし今の奥方と知り合うのがもう少し遅かったらエーリカはケスラー夫人になっていたかもしれん。

リップシュタット戦役後、憲兵隊と内国安全保障局の間で勢力争いが起きたが常に憲兵隊が内国安全保障局の上を行ったのはエーリカの力が大きい。何といってもエーリカは未だ少佐の時にフェザーンと地球教の繋がりを指摘していたと言うのだから凄い。トサカ頭の言葉だから間違いはないだろう。

キュンメル事件、ワーレン襲撃事件、フェザーンでの爆破事件、いずれも憲兵隊の力で失敗に終わった。そのたびに内国安全保障局は面目を失った。その事がラングと組んだオーベルシュタインの権力基盤を弱めた。

極めつけは俺の事件だった。あの事件の圧巻は気がついたら内務尚書オスマイヤーがケスラー、エーリカと組んでいた事だった。俺の謀反を言い立てるラングに対し、オーベルシュタイン、ラングによる謀略を暴露したのはラングの上司である内務尚書オスマイヤー自身だった。

“自分はいかなる意味でもラング内国安全保障局長にロイエンタール元帥の調査など命じた事はないし報告を聞いたことも無い” ラングは上司からも見捨てられていた。オーベルシュタイン、ラングは失脚し、ケスラー率いる憲兵隊は国内最強の捜査機関となった。

パーティが始まったのは俺たちが会場に入ってから直ぐの事だった。主賓の挨拶を俺が乾杯の音頭をエーリカが行なった。最初は一緒にいたのだが直ぐに別々になった。俺の周囲には経済界の人間達が集まり、どういうわけか少しはなれたところにいるエーリカの周囲には帝国軍人達が集まった。

エーリカがベルゲングリューンと話をしている……。ベルゲングリューン、エーリカの胸元をチラチラ見ながら鼻の下を伸ばすのは止めろ。その91センチの胸は卿の物ではない。髭を生やしていても鼻の下が伸びているのは分かるぞ。

どうやら卿は補給基地に行きたいようだな。望みどおり卿の人事考課には補給基地への異動希望アリと書いてやろう。オーベルシュタインに可愛がって貰うと良い。せいぜい玩具になって来い。俺は他人の望みをかなえるのが大好
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