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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第50話『VS.鬼』
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る。
だがその痛みを嘆くことはできず、代わりに冷たさに苛まれた。

ヒョウに近づいてからものの数秒、見事に返り討ちだ。
作戦だけは良かったかも知れないが、戦闘において晴登は如何せん素人である。強さの最上位に君臨する鬼族相手では、足元にも及ばないのだ。


「…っ!?」


ふと、視界が回転して地上が見えた。

・・・今、晴登の身体は空中に在る。
どうやら、ヒョウに空中へ放り投げられたようだ。


「これで終わりだよ」


体勢がままならないが、目だけはヒョウを捉えた。
同時に、彼の手元に生成されている、大きな氷柱も見えた。直径10cmはあるだろう。
彼の最初の一手、晴登の横腹を穿ったアレである。


──空中にいる以上、避けることは不可能。


将棋でいえば“王手”、チェスなら“チェックメイト”の状態。"絶体絶命"という言葉が、脳裏をよぎった。


「逝け」


短い言葉と共に、氷柱は射出された。悔しいが、完璧に晴登の身体貫通コースである。

魔術を使って防ぐ、ということはしなかった。できたとは思うが、たぶん心のどこかで諦めていたのだろう。

氷柱が目前に迫る。
不思議とこの時、冷静でいられた。
余りに刹那の出来事だからなのか、死を受け入れていたのか・・・。

何にせよ、防ぐ手段はない。どう望もうが、未来は変わらないのだ。


「ごめん、ユヅキ……」


不思議とその言葉だけは素直に出てきてくれた。
こんな時まで悠長でいられるなんて、呆れて物も言えない。

あぁ、もう一度瞬きをすれば、その間に死ぬのではないか。いや、視界が霞んで、もう遠近感なんて掴めやしない。


「ハルト!」


ミライの声が聞こえた。
しかし今更、彼が何かできる訳ではないだろう。
自分の死に様を晒すなんてしたくないけど、彼にならいいかもしれない。

すいません、ミライさん。

俺も、この街を守りたかったです・・・



「ハルトっ!!」

「…!!」


その時、身体が大きく揺れた。そして、視界から氷柱の存在が消える。


何が…?


その問いの答えは、考えるよりも簡単に解った。


「嘘だろ、ミライさん…!!」


眼前、氷柱に身体を射抜かれ、鮮血と共に力なく地面に落ちていくミライの姿があった。


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