第50話『VS.鬼』
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にきて最悪の事態じゃねぇか…?」
さっきの言葉を思い返して嘆息。
相手は最強クラスの魔獣の鬼なのだ。そう易々と勝てる訳がない。
「人間じゃ勝てない、か……あながち、間違いじゃないかもな」
ポツリと呟いた言葉には、一切の希望が含まれていないだろう。しかし、希望を捨てた訳ではない。
どんな努力も最後は実を結ぶと、どこぞの偉人たちはよく言うのだ。
「…だから簡単には諦めない。俺は決めたんだ」
場違いな笑みを晴登は浮かべた。攻撃に集中するヒョウには気づかれてもいないだろう。
──自分の求める結果を掴みとる。
俺が求めるのは、皆が笑って暮らせること。だから、まずは俺が笑って皆を誘導するのだ。
こんなファンタジーの主人公みたいなこと、俺がやっていいのかな・・・否、やってやるさ。
「こんな逆境、覆してやるよ!!」
「ハルト!?」
「ッ!?」
晴登は回避の進路を急変更。ヒョウに向かうように走った。
それまで“線”に動いていたのを“点”にすることで、相手が攻撃に戸惑い、隙を生む作戦だ。“攻撃は最大の防御”の良い例である。
そして見事に成功し、まさか突っ込んでくるとは思わなかったのだろう、ヒョウの慌て顔を拝める。これにはミライもビックリだ。
「喰らえ、"烈風拳"!!」
これは拳に風を乗せたパンチ。威力としては大熊を吹き飛ばすくらいあるのだが、鬼相手には関係ないだろう。だが無いよりはマシである。
狙いはもちろん、ヒョウの額の角。
「チッ!」
「マジか…!?」
余裕のないヒョウの舌打ちが聞こえた。
すると彼は攻撃を当てさせないどころか、近づかせまいという勢いで吹雪を展開した。
この行動は予想外ではないが、かといって対策はしていない。晴登は為す術なく弾き飛ばされた。
さすがに力任せの魔獣相手には、厳しい策だったのだろうか。
「いや、終わらせねぇ…!」
相手から遠ざかっていく中で、晴登は"鎌鼬"を放った。今回のは、大きさよりも鋭さを重視している。吹雪ごと断ち斬ってやるのだ。
「アァッ!」
だが周りの警戒を怠っていないヒョウは、"鎌鼬"に気づき一瞬で砕く。
そしてそのまま吹き飛び中の晴登の、寸前にまで距離を詰めて、
「お返しだよ」
「がっ!」
小さく呟き、冷気を纏わせた小さな右手で晴登の頭を掴む。
ヒンヤリと…なんて優しいものではなく、肌にしみて突き刺さるような痛みを感じた。
「あ、あぁぁ…!」
脳を直接抉られるような不快感。それを感じながらも、吹き飛ばされていた晴登はようやく壁へと叩きつけられて静止す
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