第50話『VS.鬼』
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「吹き飛べっ!」
右腕を扇ぐように大きく振るい、風を起こして無理やりに氷塊の軌道を逸らす。
この防ぎ方なら、体力はいくらか温存できるだろう。
「妖精散弾!!」
隙を作ろうと、ミライが奮闘するのは変わらない。しかしヒョウは見向きもせずに、その光たちを霜へと変えていく。
あくまで、狙いは晴登のようだ。
「何で俺ばっかり狙うんだよ?!」
「さっき殺り損ねたから」
「おっかねぇ!」
淡々としたヒョウの物言いに身震い。そして明白な殺人予告に、一層晴登は身を引き締めた。
やはり真っ向から防ぐだけでは、一瞬の油断でやられそうだ。
晴登は再び走り始め、移動の回避を行う。
逃げの姿勢であるのが辛いところだが、ユヅキの戦線復帰のためにも、時間を稼がねば。
「せめて弱点とかないのかよ、あの鬼…」
弱点といえば、一発逆転の可能性を持つ、素晴らしい設定の1つだ。マンガであれ、そんなシーンを何度も見たことがある。
この異世界ならきっと、そんな2次元設定が存在するはずだが…。
「どうやって探せって言うんだよ…。第一、逃げるのに必死だっての…!」
思考を繰り返す。だが焦ってしまい、思うように考えがまとまらない。
ユヅキにカッコつけた矢先でこれとか・・・
その時、あるものに目が惹き付けられた。
「角……?」
鬼の角。それは彼らの象徴であり、強さの証。
しかし観点はそこではなく、それが彼らの弱点ではないかと晴登が疑問に思ったのだ。
根拠は、またもやマンガの知識である。そんなのがあったようななかったような・・・まぁこの際どうでもいい。
「やってみる価値は、あるよな…」
物は試し。上手くいけば儲けもの。
そんな無責任な策が浮かんだ。失敗すれば、死に繋がる危険性があるというのに。
「馬鹿なこと考えてんぞ…俺。アレに突っ込むとか無謀すぎるだろ」
口では否定の言葉を吐いても、身体は納得しなかった。
希望的観測だろうと、危険だろうと……それで放棄したら、勝利の望みは薄くなるだけ。
だったら、やることは1つだ。
「あいつの角に、一発かましてやらねぇとな」
ミライの最初の一撃も両腕でガードされていたから、角が弱点かは確認できなかった。口惜しいが、隙を狙ってもう一度上から攻撃するしかあるまい。
となると、ミライにも作戦の協力を仰がないといけないのだが、生憎今の晴登にその余裕はない上、そもミライと作戦会議する時間をヒョウが許すはずがない。
強いてできることが、ユヅキと同様で相手に特攻することだ。
「・・・ってことは、結局厳しいじゃんかよ。ここ
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