第50話『VS.鬼』
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でも懐に飛び込めるよう、ヒョウの回りをぐるぐると回るように逃げているのだが、やはり危険かもしれない。
少しキツいが、屋根の上とか使ってみるか…?
「…ッ!」
「…ユヅキ!?」
逃げる思考を練ってた間、横目にユヅキがヒョウに突撃するのが見えた。右手には短剣…らしき、氷の尖った物体。
晴登が狙われている隙に、という策なんだろうが軽薄だ。鋭利な武器を持っていても、奴は侮れない。
「ユヅキ、ダメだ!」
晴登は走りながら、精一杯叫んだ。が、ユヅキは聞かず、ヒョウの背後から特攻を継続する。
その距離はもう1mもなかった。
「もらったぁ!」
「…気づかないとでも?」
「うっ!」
しかし、ユヅキの攻撃は失敗に終わり、それどころか腹に蹴りという反撃を喰らってしまう。
ユヅキは吹き飛び、数回転地面を転がってようやく止まる。
「ユヅキ! 大丈夫か?!」
「うぅ…」
晴登はすぐさま駆け寄り、ユヅキの容態を診る。
お腹を押さえて苦しそうにしてはいるが、命に別状は無さそうだ。
「良かった、ユヅキ・・・」
「──ハルト、安心してる暇はないぞ!」
「え、ミライさん……うわっ!?」
突然のミライの声に慌てて顔を上げると、そこには氷塊をシールドの様な光の壁を張って防ぐ、ミライの姿があった。その衝撃音に思わず声を上げて驚いてしまう。
しまった、まだ戦闘中なのだ。ユヅキを心配する余り、周りを見ていなかった。
「す、すいません…」
「ユヅキは動けそうか?」
「まだ、大丈夫ですよ…」
途切れ途切れではあるが、ユヅキは答えた。だが、晴登は納得できない。
「ユヅキ、無理しないで」
「ごめんね、ハルト。迷惑…かけちゃって」
「それはお互い様だよ。俺だって散々かけたし」
「ボクのことは一旦放っておいて構わない。それよりも、ヒョウを何とかして」
ユヅキは眼差しは本気だった。暴走している身内を止めて欲しいと。
その意を汲まずして、どうしろというのだ。
「…わかった。ホントなら逃げろって言いたいけど、場合が場合だもんな。あいつは俺とミライさんで何とかする。ユヅキはとりあえず休んでてくれ」
「ありがとう…ハルト」
ミライが攻撃を防いでくれている間に、晴登はユヅキを路地裏に運ぶ。ここなら攻撃の被害を受けることもない。
壁にもたれかからせるようにユヅキを寝かせ、晴登は再び戦場に戻る。
「ハルト、一度防御を止める。回避の準備はできてるか?」
「バッチリです!」
光が霧散し、シールドが形を失う。
その瞬間、防がれていた氷塊の嵐が2人を襲った。
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