第50話『VS.鬼』
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できるけど、今回は相手が悪いし…」
「だったら、奴の注意が僕から離れるようにしてくれるか? そうしたら、隙を見て撃つ」
かなりリスクは大きいが、晴登とユヅキは頷いた。2人でやれば何とかなるだろう。
「頼んだぞ、2人とも!」
「いくぞぉ!」
ミライの声を聞きながら、晴登は最前線に飛び出た。強風を身体に纏いながら。
この役目をユヅキには負わせられない。負ったとしても、最前線では自分が戦ってやる。
「はぁぁぁぁ!!」
纏った強風を全て、"鎌鼬"の形成に注ぎ込む。
すると三日月型の刃は巨大化し、その大きさは晴登の身長にまで及んだ。
「喰らえっ!!」
「……」
晴登は渾身の力で"鎌鼬"を放つ。もはや、足止めという言葉は頭になかった。
ヒョウは向かってくるそれを、ただただ見つめている。恐れも、余裕も、何一つ感じられない。
唯一感じたのは・・・
「…ふッ」
天と地ほどの、力の差だった。
ヒョウはまたも、右手を振るって"鎌鼬"を破壊する。
しかも今回に至っては、力を込めていないようにも見えた。
「嘘…だろ…」
全力を防がれて、情けない声を出す晴登。気づけば、膝から崩れ落ちていた。
自分の力が通用しないとわかったときほど、絶望するときはないだろう。
…だが、まだ彼女が諦めていなかった。
「はあっ!」
地面を凍てつかせ、大きな氷柱を連ねていくユヅキ。
その光景は、まさにマンガでしか見たことないものであり、いつの間にか晴登は見入っていた。
「……その程度か」
しかし、ヒョウにはやはり通じなかった。彼は腕を一振りするだけで、全ての氷柱を破壊したのだ。
淡々と、まるで作業するかの様に、彼は悉くこちらを制してくる。
「くっ、ミライさ…! …ん?」
晴登は自分の役立たずっぷりに、たまらずミライに作戦の変更を依頼しようとする。
しかし晴登が振り向いて見ると、彼は姿を消していた。
「いない…」
「え?! どこ行ったの?!」
唐突な事態に、晴登とユヅキは困惑する。
焦りが生まれ、敵をそっちのけにミライを捜し始めた。
一方ヒョウも、これには警戒をしているようだった。
すると、
「──妖精の鉄槌!!」
「っ!」
突如として聞こえた声は真上から。続いて、巨大な光と衝撃がヒョウを射抜いた。コンクリートの地面が捲り上がり、土煙が勢いよく舞う。光は辺りを照らし、そして炎の様に焦がしていった。
これにはヒョウも即座に避けられず、両腕でガードしようとしていたのが最後に晴登には見えた。
その爆風を身体に
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