第50話『VS.鬼』
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本物の鬼を見たのは、これが初めてである。…まぁ、見たことあったら逆に凄いのだけれども。
とにもかくにも、そんな非現実な事態に晴登達は巻き込まれていた。
「別に震えてない…これは武者震いだ…」
自分に言い聞かせるも、無理がありそうだと考え直す。ヒョウから溢れ出ている鬼気が、この震えの元凶だ。
威圧、なんて生易しいものじゃない。圧倒的な力の差を素人目でも感じられる。
「あァァァァァ!!」
「やばっ!?」
突如、ヒョウを中心に吹雪の大爆発。一瞬で視界が白くなり、極寒に襲われる。それだけでなく、瞬く間に辺り一面が雪景色に変わってしまった。
いわゆる、天気があられの状態。真冬の寒さが体力を奪う。
「そうはさせるか! 妖精の光!!」
しかしミライの温かな妖精魔法によって、気温諸々が一気に中和される。そして辺りの景色は、何事もなかったかのように元に戻った。
「す、すげぇ…」
「ハルト、驚いている暇はないぞ!」
「…わかってます! "鎌鼬"!!」
「ふん!」
「弾かれた!?」
かなりの力を込めて放ったはずだが、ヒョウが右手を振るっただけで、"鎌鼬"は砕かれて原型を失う。
晴登はそれに動揺するが、相手が待ってくれる訳でもない。
刹那、ヒョウは1歩で晴登に接近した。まさに閃光の如きスピードである。さらに、文字通り“鬼の形相”のヒョウを見て、晴登は臆して隙を見せてしまった。
そして彼の右手は、晴登の顔を的確に捉えて・・・
「ハルト!」
その時、ユヅキが助け船を出した。
拳ほどはあろう大きな氷塊をヒョウに放ったのだ。
しかし、予想の範疇だったと言わんばかりに、彼はヒラリと身をかわしてそれを避け、またも一瞬で最初の位置に戻る。
「なんて機動力だ…」
「ど、どうします? ミライさん」
敵の動きに感嘆するミライを見ながら、晴登は彼に作戦を仰ぐ。さすがにこの相手を前に、無策は危険だ。
“剛”を制すには、“柔”しかない。
「数秒でいい、奴を足止めできないか?」
「どうしてですか?」
「僕の魔力をありったけに込めた一撃をぶつけたい。その為に奴の隙が欲しいんだ」
「でも、それで終わるとは・・・」
「わかっている。ありったけと言っても、全てを注ぐ訳じゃない。君たちを残して、魔力切れで倒れるなんて真似はできないからね。ただ、確実なダメージを一発は与えてはおきたい」
ミライは既に覚悟を決めていた。
今のところ、その案が最善策だろう。ならば、やる価値はある。
「ただ、足止めと言ったって、俺は何もできないですよ?」
「ボクなら相手を氷漬けには
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