暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第50話『VS.鬼』
[1/7]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
本物の鬼を見たのは、これが初めてである。…まぁ、見たことあったら逆に凄いのだけれども。
とにもかくにも、そんな非現実な事態に晴登達は巻き込まれていた。


「別に震えてない…これは武者震いだ…」


自分に言い聞かせるも、無理がありそうだと考え直す。ヒョウから溢れ出ている鬼気が、この震えの元凶だ。
威圧、なんて生易しいものじゃない。圧倒的な力の差を素人目でも感じられる。


「あァァァァァ!!」

「やばっ!?」


突如、ヒョウを中心に吹雪の大爆発。一瞬で視界が白くなり、極寒に襲われる。それだけでなく、瞬く間に辺り一面が雪景色に変わってしまった。
いわゆる、天気があられの状態。真冬の寒さが体力を奪う。


「そうはさせるか! 妖精の光(フェアリーシャイン)!!」


しかしミライの温かな妖精魔法によって、気温諸々が一気に中和される。そして辺りの景色は、何事もなかったかのように元に戻った。


「す、すげぇ…」

「ハルト、驚いている暇はないぞ!」

「…わかってます! "鎌鼬"!!」

「ふん!」

「弾かれた!?」


かなりの力を込めて放ったはずだが、ヒョウが右手を振るっただけで、"鎌鼬"は砕かれて原型を失う。
晴登はそれに動揺するが、相手が待ってくれる訳でもない。

刹那、ヒョウは1歩で晴登に接近した。まさに閃光の如きスピードである。さらに、文字通り“鬼の形相”のヒョウを見て、晴登は臆して隙を見せてしまった。
そして彼の右手は、晴登の顔を的確に捉えて・・・


「ハルト!」


その時、ユヅキが助け船を出した。
拳ほどはあろう大きな氷塊をヒョウに放ったのだ。

しかし、予想の範疇だったと言わんばかりに、彼はヒラリと身をかわしてそれを避け、またも一瞬で最初の位置に戻る。


「なんて機動力だ…」

「ど、どうします? ミライさん」


敵の動きに感嘆するミライを見ながら、晴登は彼に作戦を仰ぐ。さすがにこの相手を前に、無策は危険だ。
“剛”を制すには、“柔”しかない。


「数秒でいい、奴を足止めできないか?」

「どうしてですか?」

「僕の魔力をありったけに込めた一撃をぶつけたい。その為に奴の隙が欲しいんだ」

「でも、それで終わるとは・・・」

「わかっている。ありったけと言っても、全てを注ぐ訳じゃない。君たちを残して、魔力切れで倒れるなんて真似はできないからね。ただ、確実なダメージを一発は与えてはおきたい」


ミライは既に覚悟を決めていた。
今のところ、その案が最善策だろう。ならば、やる価値はある。


「ただ、足止めと言ったって、俺は何もできないですよ?」

「ボクなら相手を氷漬けには
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ