第百一話 長崎へその三
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「安心してね」
「それでは」
「坂はね」
円香さんはまた言った。
「日本は特に多いのですわね」
「よく言われるね」
「神戸でもそうで」
「奈良はもっとだね」
「山の県と言っていいですわ」
奈良県はまさにというのだ。
「わたくしの住んでいる大和高田市も少し行けば山がありますわ」
「そうなんだ」
「何処に行っても山が見えますわ」
「神戸もだけれどね」
「また違いますの」
「後ろに六甲があるんじゃなくて」
「周りにですわ」
前が海とかじゃないというのだ、神戸みたいに。
「ありますわ」
「そうなんだね」
「海がありませんし」
奈良県の特徴の一つだ、実はこの県は海がないのだ。だから昔はお刺身とかを食べなかったという。川魚のそれはともかく。
「山ばかりですわ」
「そうなんだね」
「もう海に憧れる程」
「それは大変だね」
「こっちもよ」
ペルー人のチェチーリアさんが言ってきた。
「山ばかりよ」
「ペルーはアンデスの中にありますから」
「そう、基本高原にある国だからね」
インカ帝国からだ、だからマチュピチュなんていう凄い遺跡もあるのだ。
「そうなの」
「そうなんですね」
「だから海はあるけれど憧れるわ」
ペルーという国自体は海に面していてもというのだ。
「じゃあその長崎の海を見に行きましょう」
「今から」
「そうしましょう」
こうしたことを皆で話しながらだった、僕達はバスに乗り込んでそうしてまずは駅に向かった。駅にはすぐに着いてだった。
西の方に行くホームに降りるとすぐに特急が来た、八条鉄道の誇る高速特急の一つスカイジェットだった。
そのスカイジェットを前にしてだ、畑中さんは僕達に話してくれた。
「三号車です」
「そこに、ですね」
「皆さんの席を予約していますので」
それでというのだ。
「お乗り下さい」
「それじゃあ」
見れば丁度その三号車の前だった、それで電車の中に入ってだ。
皆それぞれの席に座った、ただここでだ。日菜子さんがこんなことを言った。
「スカイライナーは二階建てよね」
「はい、あの特急は」
「それでスカイジェットは一階しかなくて」
「その分速度が速いんです」
「そうなのね」
「八条鉄道は特急が何種類かありまして」
これも八条鉄道の特徴だ、その地域限定の車両もある。
「それでスカイジェットは速いんです」
「そうよね」
「はい、ですから」
後ろの席にいる日菜子さんに背中から話した。
「長崎まですぐですよ」
「そこからハウステンボスね」
「そうです」
まさにそうなる。
「新幹線と同じ位の速さです」
「音は大丈夫なの?」
「これが静かなんです」
新幹線は騒音公害が有名で防音壁が張られたりしたけれどだ。
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