魔女と騎士兼旅人の物語
色彩の魔女は動けない。
××日 色彩の魔女
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敗北した者だ。
正義なんて名義も興味無いしね。
だから、僕はその定義を肯定することは出来ない。
否定もしない。
それを批判するつもりはない。
だって、それは正義と悪を決める一つの定義なのだから。
物音しない夜の村。
こんな時間に外を出歩いてるのは私達くらいだろう。
いや、歩いているのは私だけだけどね。
村の入口に灯してある松明を頼りにここまで帰ってこられたけど一時はどうなるかと思ったよ。
月明かりに照らされ、夜道はそれほど苦労しなかった。
のだが、問題はその後だった。
「あれ? 帰り道はどっち?」
村に戻る最中、迷子になってしまった。
いかに月の光が道を照らしていてくれても日中の太陽の明るさには敵わない。
何処で道を間違えたのかは解らないけど昼間、太陽の光が出ている間なら間違えることは無かっただろう。
その後は適当に歩いていると遠くに炎の灯りが薄らと見えたのでそれを目印にここまで戻ってきたという訳だ。
私の住む村の周辺は山で囲まれており、近くに他の村はない。
なので、あそこに家があると思えた時はどれほど嬉しかったことやら。
人というやつは目的を達成しそうになるとそれまでにあった労力を思い返す生き物だ。無論、それは私も例外ではない。
達成感と同時にやってくる疲労感もハンパないけどね。
なんとか、その疲労感に耐え。
私はここまで弟子をお姫様だっこして戻ってきた訳だ。
さて、早く帰って寝よう。
自宅を目指して一直線……あれ、そういえば弟子の家ってどこ?
自宅玄関前で、ふと疑問に思った。
この村に来てかれこれ四年くらいになるけど弟子の家が村の何処にあるのか知らなかった。
まずは、この重たいお荷物を家に返さないとだが。弟子の家が何処にあるのか解らなければ返せようにも返せない。
そして、また新たに疑問を覚えた。
弟子の親は弟子の心配をしていないのか。
弟子はまだ年端のいかない少年だ。
そんな少年が夜になっても家に帰ってこなかったら普通は心配するはずだ。
下手すれば村の住民総出で弟子を探し回るだろう。
なのだが、そんな形跡は無く。
村の住民は眠りに就いている。
これは一体どういう事だ?
「少しは、村の住民との交流を深めるべきだったかな」
私は基本的に家に閉じこもっているので外との交流は一切ない。
あるとすれば私の腕の中で眠っている弟子くらいだ。
これは困った。とても困った。
数分、数秒悩むが。
まぁ、何かしらの事情があるのだろう。
と決め付け、私は自宅に向かう。
今日は疲れた。
明日の事は明日の私に任せればいい。
んんじゃあ。明日の私、
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