魔女と騎士兼旅人の物語
色彩の魔女は動けない。
××日 色彩の魔女
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たね。
腐った肉の焼ける匂いが、辺りを充満してきた。これは酷い匂いだ。
弟子も、その匂いに嘔吐しそうになっている。元から腐ってたから余計に臭いよ。
「高貴な騎士だった……とお見受けするけど。君の名前は?」
「……」
返答はない。
まぁ、顔。そもそも口が無いんだ喋れないのは当然だよね。
「うん、返答が無いなら私と弟子は帰らせてもらうよ」
私の足元で蹲っている弟子を立ち上がらせ。
「ここに君の探しているものは無いから。早々に去るといい」
そう言い残し、去ろうとすると。
デュラハンは後を付いて来る。
「ちょっと近寄らないでくれるかな。君、自分の体臭を匂ったことある?
率直に言うよ、臭いから離れてくれ」
それでもデュラハンはやってくる。
全身を炎に包まれながらやってくる。
腰に掛けていたボロボロの剣を引き抜きやってくる。
「はぁ、聞き分けのない。
人の意見は素直に聴くべきだと思うよ」
それでも、それでも、デュラハンはやってくる。
汚臭を漂わせやってくる。
案の定、その匂いに耐えきれず弟子は吐いてしまった。
おいおい、勘弁してくれ。
嘔吐の生臭さと腐って焼けてる肉の匂いは流石の私でもキツイよ。
その匂いの元凶は距離を更に詰めてくる。
「もう一度。もう一度だけ忠告するよ。ここに君の探し求めるものはない。だから早々に立ち去れ。
そうすれば今回の事は見逃してあげるよ」
返答はない。
そうかそうか。あくまで敵対行動をとるなら私にも考えがある。
こんなことで魔法を使いたくないけど聞き分けのない糞ガキを黙らせるなら仕方ないな。
いや、そもそも彼は一言も喋ってないから黙らせるも何もないか。
取り敢えず、お前。
「失せろ」
その一言でデュラハンは消えた。
さて、お腹減ったし早く帰ろう。
弟子に晩御飯を作ってもらわねば……と思ったけど。今日は無理そうだね。
余りの恐怖と異臭に耐えきれず、気絶してしまったようだ。
この分だと明日までは起きなさそうだ。
はぁ、と溜息を付きながら私は弟子を抱え込み歩き出す。いわゆるお姫様だっこってやつだ。
もう、夜遅いし帰ったらすぐに寝よう。
欠伸をしながらゆっくりと歩く。
その姿は魔女と呼ぶには些か疑問を感じるものだった。
色彩の魔女 ラードンは色を彩る魔女である。
七人の魔女は魔女の素質を持ってこの世に産まれてきたがラードンは違う。
彼女は普通の一人の人間として産まれてきたのだ。
双子の妹 エキドナは魔女として産まれてきたのに姉のラードンは人間として産ま
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