魔女と騎士兼旅人の物語
色彩の魔女は動けない。
××日 色彩の魔女
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以前、こんな話を聞かされた。
それは遥か昔、人と魔女が共存していた頃の話。
七つの大罪と称される七人の魔女達の物語。
七人の魔女達は罪を咎められた。
その罪は大罪。
その罪は七つ。
七つの大罪。
魔女達は禁忌を犯した。
一人の魔女は『怠惰』だった。
一人の魔女は『傲慢』だった。
一人の魔女は『色欲』だった。
一人の魔女は『嫉妬』だった。
一人の魔女は『憂鬱』だった。
一人の魔女は『虚飾』だった。
一人の魔女は『憤怒』だった。
七つの罪を背負う、七人の魔女。
その中でも、最強と謳われる嫉妬の魔女は他の六人の魔女を滅ぼし。
自らの糧となる世界を敵に回した。
嫉妬の魔女は自らの力を嫉妬していた。
己の嫉妬を『嫉妬』していた。
話によれば今でも、この世界の何処かで生き続けているとされる嫉妬の魔女。
彼女は生き続ける限り、嫉妬し続けるであろう。
この世界の人間を。
この世界の愛を。
この世界の全てを。
これは嫉妬の魔女が嫉妬をする前の物語。
そして、嫉妬の魔女に嫉妬を教えてしまった魔女の物語。
「お師匠様ぁ!
お師匠様ぁ!」
家中に響き渡る弟子の声。
階段を駆け上がる音。
……五月蝿いなぁ、そんなに大声を出さなくても聴こえてるよ。
「お師匠様ぁ!」
そして現れた弟子は無邪気な笑顔でやって来た。
朝からこの笑顔は鬱陶しい……。
悩みなんて一つも抱えてなさそうな表情の男の子は大声で。
「お師匠様!
今日も、良い天気ですね!」
無駄に大きな声ではきはきとした挨拶。
私の弟子になってから毎朝、私を起こそうしてくる嫌な弟子だ。
「うん、今日も五月蝿いね」
「はい!ありがとうございます!」
「いや、誉めてないから」
「はい!ありがとうございます!」
……この始末である。
なんでもかんでも私に対して「ありがとうございます!」と言ってくるのだ。
私は注意をしているのであって、感謝をされるような事はしていないのだが。
「師匠様!今日も一日よろしくお願いします!」
「はいはい。
ちょっと五月蝿いから声のボリュームを下げようね」
「はい!師匠様!」
いや、声の大きさ変わってないから。
期待の眼差しを向けてくる弟子は毎日飽きずに私の家にやってくる。
毎日毎日。
決まった時間にやってきて飽きないのだろ
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