154部分:梟雄と呼ばれた男その一
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でわしの娘として育て都合の良い道具として利用してやったのだ」
アルテナの顔が蒼白になり全身が震える。アリオーンの顔も蒼白になりアルテナを見ている。
「だがそれがどうしたというのだ?戦争なのだぞ。力こそ、強い者こそが正義なのだ。それに血は繋がっていなくともアルテナ、御前はわしの・・・・・・」
だがそれ以上言えなかった。アルテナが腰から剣を抜き跳び掛かって来た。
「父上、・・・・・・いやトラバント!父上と母上の仇・・・・・・!」
目から涙を流し顔を紅潮させて王へ襲い掛かろうとする。王はそれに対し何故か身動ぎ一つしようとしない。
「待てアルテナ、父上に剣を向ける事は私が許さん、どうしてもというのなら私が相手になる!」
アリオーンがアルテナの前に立ち塞がった。アルテナの動きが止まった。
「あ、兄上・・・・・・」
「どうした、来ないのか?」
アルテナが怯んだ。アリオーンはジリジリと近寄り剣を抜いた。
「ま、待って。私は兄上とは・・・・・・」
「問答無用、行くぞっ!」
「ああっ!」
アルテナは一撃で床に伏した。血は流れていないが急所を打たれたらしく瞳孔が開いたままで倒れている。
「・・・・・・アリオーン、何も殺さずとも良かったのではないか」
剣を鞘に収めるアリオーンに対しトラバント王は咎めるように言った。
「・・・・・・父上に剣を向ける者はたとえ誰であろうとも成敗する。それだけです」
チラリと床に倒れているアルテナを一瞥して言った。
「・・・・・・そうか」
王は何やら言いたげであったがあえて言わなかった。
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