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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜
153部分:明かされた真実その二
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の事、致し方なかろう」
 リーフへ槍を突き出そうとする。しかしリーフは身じろぎもせず言葉を続ける。
「私の姉は殺されてはいませんでした。そして今私の目の前におられます」
「まだそのような世迷い言を」
「いえ、世迷い言ではありません。何故なら貴女が手にするその槍・・・・・・それこそ我がレンスター家に伝わる十二神器の一つ地槍ゲイボルグなのです!」
「なっ・・・・・・!」
 アルテナの美しい顔が今にも粉々に割れんばかりに強張った。アルテナだけでなく解放軍、トラキア軍双方に衝撃が走った。
「トラバントは私たちの父上と母上を殺しその槍の力を己が野望に利用する為に貴女を娘として育てたのです。そのゲイボルグこそが何よりの証です!」
「くっ、そのような戯言・・・・・・」
 槍を握った手が白くなり震えている。噛み締められた歯が軋む。
「目を御覧下さい、レンスター王家の怨恨、今こそ晴らす時なのです!」
「くっ、何故だ、何故そなたの言う事を否定出来ないのだ・・・・・・!」
 ふとリーフの傍らにいる青い髪の騎士に気付いた。その瞬間心の何処かで閉じられていた鍵が解き放たれ扉が開いた。不意に懐かしい気持ちになった。
(・・・・・・ン、・・・・・・ィン)
 白い部屋に両親、そして若い騎士と共に幼い自分がいる。おかしい、母は自分を産んですぐにこの世を去った筈だ。そして若い騎士は兄ではない。
「・・・・・・一先トラキア城に帰り父上にお話する。話はそれからだ」
 彼女はそう言うと竜の首を返し上空へ舞い上がった。
「攻撃中止、全軍トラキアまで撤退する!」
「姉上・・・・・・!」
 アルテナはリーフが制止するのも聞かず竜騎士団と共に南へ消えていった。後には消沈するリーフと彼を気遣うフィンとナンナ、そして解放軍の一同が残された。
 アルテナは流星の如き速さで父の許へ向かっていた。その顔は恐怖と不安、焦り、狼狽で彩られ彼女の心を完全に塗り潰していた。この時彼女は予感していたかのしれない。自分を待つ残酷な運命を。

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