152部分:明かされた真実その一
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明かされた真実その一
明かされた真実
ートラキア城ー
ハンニバルとの会談を終えたトラバント王は城内の会議室において軍議を開く為廊下を進んでいた。
足を進めている時ふと脳裏にアルテナとハンニバルの事が浮かぶ。二人共その表情が暗く困惑したものである。
(・・・・・・ふん)
二人の顔を脳裏から取り払う気を紛らわせるかのように足を進める。やがて部屋の扉の前に着いた。
近侍に扉を開けさせる。中に入った。既に自分以外の軍議の参加者は全員揃っていた。
中にはアリオーンとアルテナ、ハンニバル、ルテキア城の城主ディスラー、そして帝国から大使として派遣されているグルティア城の主将スカパフチーレの五人がいた。いずれも席を立って王を待っている。王が入室すると一斉に王の方を向きトラキア式の敬礼をした。
王もそれに対しトラキア式の敬礼で返した。そして一同を座らせる。一同がそれぞれの席に座すのを見届けると王は自身の席へ向かい座した。
「諸侯にこの場に集まってもらったのは他でもない。シアルフィ軍がミーズを我がトラキアから奪いそこを拠点にトラキアを征服せんとしている」
五人共それを黙して聞いている。これから王が言うであろう言葉に神経を集中させていた。
「わしはトラキアの民と国土の安全、そして同盟国であるグランベル帝国に対し弓を引き大陸の和を乱すシアルフィを討伐する為戦いを決意した。諸侯の尽力を期待する」
皆頭を垂れた。王は続ける。
「アルテナは竜騎士団を率いミーズ城を奪還、ハンニバルは歩兵部隊を率いアルテナと呼応して東進、ディスラーはルテキア城の防衛、スカパフチーレ殿はグルティア城の防衛、アリオーンはわしと共にこのトラキア城で本格的な反攻の準備に入る」
王はそう言うと杯を手に席を立った。皆それに続く。
「ダーナより帝国の援軍も向かっているという。挟撃し奴等を滅ぼすのだ!」
一同は高々と杯を掲げた。そして勝利を誓い合った。
軍議の後トラバント王とアリオーン、アルテナは会議室に残ったがハンニバルはディスラーにコープルを預けていた。
「ディスラー殿、宜しくお願いします」
ハンニバルは敬礼した。ディスラーも折り目正しくそれに対し敬礼で返す。
「ハンニバル殿、お任せ下さい。決して悪いようにはいたしませぬ」
旧知の間柄である。互いのことをよく知り、また信頼し合っている。共に戦場を駆け巡ってきた。だからこそ辛いこともある。
「さあ、来こう」
ディスラーはコープルの手を引き城を後にした。ハンニバルは次第に小さくなり消えていく二人の後ろ姿を何時までも見送っていた。
トラバント王はそれを上から見ていたが声はかけなかった。そしてカパドキアへ向かったハンニバルに気付かれる前に姿を消した。
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