第3章:再会、繋がる絆
第88話「溢れ出る“負”」
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
が致命傷になっていた。
...瞳孔は開き、既に死んでいるのがわかった。
辺りにはジュエルシードも散らばり、一部は罅が入っている程だった。
その全てが、機能を停止している。
「なに、が....!?」
〈...マス....ター....。〉
「リヒト!?」
手に持っていた剣は、リヒトだった。
だが、その刀身は罅が入り、リヒトが機能停止する寸前なのが分かった。
見れば、足元に落ちている杖形態のシャルも罅が入り、こちらは既に機能停止していた。
「ど、どういう...事だよ...。」
辺りを見渡せば、それはまさに死屍累々の光景だった。
....誰もが死んでいる。
椿が、葵が、奏が、父さんが、母さんが、リニスさんが、クロノが....。
皆が皆、確実に“死んでいる”状態で倒れていた。
葵や一部の者に至っては、頭や体の一部がなくなっている程だった。
...それだけじゃなかった。
遠くにアースラが見えたが、それも既に破壊されていた。
巨大な剣や槍が突き刺さり、砲撃魔法でも直撃したかのように崩壊していた。
「...な、なんで...。」
―――誰がやったのか?
...簡単だ。皆は全員死んでいて、無事なのが僕一人な時点で丸わかりだ。
「ぜ、全部僕が....。」
どうして...と考えれば、すぐに答えは浮かんできた。
先ほど...実際の時間ではどれくらい経ったかわからないが、泥に呑まれたからだ。
あれは“負”の塊。あれに呑まれ、心が蝕まれたのだろう。
「っ....。」
体を見れば、まるで“闇”に堕ちたかのように全てが暗い色になっていた。
手や体は返り血に濡れ、まるで殺人鬼のようだ。
「ぁ、ぁああ....!」
リヒトが手から滑り落ち、膝をつく。
...どうして、こうなったのかが理解できなかった。ただ、理不尽だと感じた。
「司...さん....!」
僕は...僕らは、司さんを助けに来た。
なのに、結果がこのざまだ。
―――“全滅”
この言葉が、まさにふさわしいだろう。
次元を行き来する船もなくなり、僕もずっとここにいられる訳ではない。
まさに最悪。あり得る未来の中で、“最悪の結末”を引き当ててしまったのだ。
「ぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
ただただ叫んだ。それが、どんなに意味がないものかは理解していた。
それでもそうせずにはいられなかった。
...僕は、とんでもない取り返しのつかない事をしてしまったのだから。
こんな結末は、誰も望んでなかった。なのに、僕のせいでこうなってしまった。
それが、嫌で、納
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ