第一章 天下統一編
第十二話 覚悟
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。ただし、期限は一月だ。一月で韮山城を落とせなければ大人しく付け城を作るのだ。分かったな」
秀吉の真意がようやく分かった。織田信雄を筆頭に有力大名が居なくなったら期限付きだが城攻めを許すということだ。そうなると俺は一ヶ月が動かず来るべき日の準備を進めたほうがいい。しかし、秀吉の話の中に懸念材料があった。
「その三人を小田原に向かわせると韮山城に残る兵力は三分の一になってしまいます」
「三人がお前の指図を聞くと思っているのか? 三人が残ればお前の指図を聞くどころかお前の邪魔をしかねんぞ」
俺の言葉に秀吉は俺を諭してきた。秀吉に指摘された内容は納得のいくものだった。だが、大軍が城を囲むから敵に圧迫感を与えることができる。それが無くなれば敵が城の外に出てくる可能性がある。付城を作られれば敵は本当に身動きができなくなるからだ。でも、北条氏規がそうそう出てくるとも思えない。韮山城に籠もるからこそ味方の被害を最小限に抑えることが出来ていると思うからだ。
「もう一つお願いがございます」
俺は秀吉に方針に不満は言わず本題を口にした。これが今日秀吉の元を訪ねた理由と言っていい。
「以前、関白殿下が約束いただいた伊豆国の知行安堵状をいただけないでしょうか?」
秀吉は突然鋭い目つきで俺を見た。これは怒っている。完全に怒っていないけど間違いなく怒っている。
戦働き前に褒美をくれと言っているんだから、あつかましい頼みだと分かっている。
「関白殿下、厚かましい頼みとは重々承知しております。伊豆国の国人を調略するのに利用したいと思っています」
「調略だと!?」
秀吉は驚いた顔で俺に聞き直してきた。
「伊豆国の国人達は徳川に靡いております。今後のことを考えれば伊豆国に豊臣家に友好的な在地勢力を取り込んでおいた方が良いと考えました」
「そのために伊豆国の知行安堵状が欲しいと申すか?」
「私の見た目では伊豆国の国人は信用できないと思います」
秀吉は俺のことをまざまざと見ると何度か頷き「そうだろうな」とつぶやいた。そして、秀吉は脇息を前に置き両肘を着くと思案していた。その時間が長かった。四半刻は過ぎたろうか。秀吉は俺の顔を見た。
「条件付きで朱印状を与えてやろう」
秀吉は真剣な顔で俺に語りかけてきた。秀吉の表情が今までみたことがないほどに真剣だ。かなり難題を押し付けられる予感がする。
「韮山城を一月で必ず落とし北条氏規を拘束せよ。降伏させるもよし攻め落とすもよし手段は問わない。もし」
これが条件かと俺が安堵していると秀吉が条件の続きを話し出した。こんなに楽に伊豆国の知行安堵状が貰えるとは思わなかった。
「韮山城を落とすことと北条氏規を拘束することのいずれか一方
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