150部分:幕が開きてその四
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をし部屋を後にした。後には王とアリオーンが残った。
「父上、お許し下さい。アルテナはまだ子供なのです。父上に甘えているだけです」
「アリオーン、御前がそうやって甘やかすからアルテナがつけあがるのだぞ」
「ハッ、申し訳ありません」
「フン、まあ良いわ」
王は顔をアリオーンから今しがたアルテナが出て行った扉の方へ向けた。
「それにしても血は争えぬな。親に似てきおったわ。あ奴はわしを嫌っておる」
「・・・・・・・・・」
アリオーンは顔を下に向け言葉を発しなかった。王はそれ以上語ろうとせずただ扉へ顔を向けたままであった。
アリオーンも部屋を後にした。暫く王が一人で部屋にいたが扉を叩く音がした。
「入れ」
十人程の騎士が入室してきた。皆横一列に習い王に敬礼する。王はそれに手で鷹揚に応え絨毯の左右に並ばせる。騎士達は直立不動の姿勢で左右に同じ数ずつ並んだ。
また扉を叩く音がした。王が入るように言うと若い騎士が入室し敬礼した。
「ハンニバル将軍が来られました」
「通せ」
若い騎士に連れられ壮年の男が入って来た。
大きい。長身で知られるトラバント王より頭一つ高い。その上胸板も厚く全身が筋肉で覆われている。薄茶色の髪と髭は長く濃くツヤがある。黒い瞳は強い光を放っておりこの人物が只者ではない事を知らしめている。濃緑色の軍服と白ズボン、白マントは質素ながら手入れが行き届いている。彼こそがトラバント王の長年の腹心にして『トラキアの盾』の異名で知られるトラキアが誇る名将ハンニバルである。
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