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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
困ったチャン騒動記(2)
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の幕僚におしゃべりは必要ない。おしゃべりには罰を与えねば……。
「俺も大好きだ」
「……そうか」
「特にエヴァは紐が好きだな」
奥方が紐? はてミッターマイヤーの奥方はどちらかというと大人しい感じの女性だったが……。
「あれは普通の下着と違ってゴムの跡がつかないだろう? それが良いらしい」
「……」
「ゴムの跡は見栄えも良くないし、それにむずがゆいからな」
「なるほど」
「ロイエンタール、紐は強引に引っ張ってはダメだぞ」
ミッターマイヤーは真面目な顔をしている。何か有るのか紐に。思わず俺は小声になった。
「ダメなのか?」
「ダメだ。あれは強引に引っ張ると返ってきつく締まってしまう事が有るのだ。場合によっては千切れてしまう事も有る」
冗談かと思ったがミッターマイヤーは至って生真面目な表情だ。
「強引にされるほうが好きな女性もいるようだが、紐はダメだ。そこだけはソフトタッチで攻めないと。まあ卿のことだから余計な忠告かもしれんが」
「いや、卿の忠告で無駄な事など無い。気をつけよう」
気をつけよう、俺は知らなかった……。紐の事も、卿の奥方が強引なのが好きな事も。たかが下着、されど下着か、女とは見かけによらないものだ。
「ところで卿は、奥方と一緒にお風呂に入っているのか」
「いや、そんな事はしていない」
「何故だ? 夫婦なのだろう?」
契約結婚なのだ、そんな事ができるわけが無い。
「卿のところは一緒に入っているのか」
「もちろんだ。陛下もケスラーも一緒に入っているぞ」
「本当か、ミッターマイヤー」
「ああ、本当だ。ロイエンタール、一緒に風呂に入らないなどおかしいぞ、卿」
ミッターマイヤーはともかく、陛下もケスラーも一緒に入っている? あのお子様の陛下が? 冗談は止せ、ミッターマイヤー。ケスラーの所は、まあお父さんと一緒、そんなところか……。
「俺達は一旦戦争となれば何ヶ月も家には帰れん。家にいるときぐらいは出来るだけ一緒にいるべきだろう」
「そうかもしれん」
「卿の奥方も戦場では別な艦に乗っている。一緒にいられる時は今だけだぞ。ワーレンも後悔している」
「ワーレン?」
「ああ、彼は奥方を亡くしているからな。もっと一緒にいてやれば良かった。恥ずかしがらずに風呂も一緒に入れば良かった。そう言っているよ」
「……」
「恥ずかしがれるのも生きている内だ。詰まらぬ体裁など気にするのは愚かだぞ、ロイエンタール。卿はどうも体裁を気にしすぎる」
「……」
「一緒に風呂に入るんだぞ、ロイエンタール。それが夫婦円満の秘訣だ。それから着せ替え人形ごっこは俺も大好きだ。じゃあな、元気でいろよ」
そう言うとミッターマイヤーは通信を切った。俺は何も写さなくなったスクリーンを見なが
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