悪魔の囁き
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、元の世界に帰還させれば良い。
そこで、最期の仕上げにクロエが凜の耳元で囁いた。
「お兄ちゃん、士郎はこっちの世界にもいるわ。それも妹と一緒に戦って救ってくれた戦友で英雄で大切な人、顔と名前だけ知ってるクラスメイトなんかじゃないわよ」
凜はまるで雷撃でも受けたかのように、ビリビリと感電して髪の毛を逆立て、その場に座り込んで荷物の梱包を投げた。
「はい、分かりました」
凜は敬語で答え、11歳のょぅじょの言葉にノックアウトされ、テンカウントまでされた。
その際、もしこの世界の士郎が桜救出に参加し、生きている桜を見て抱き着いて号泣してしまうと「私、傷がある先輩に(一生)付いていきます。先輩、こんなに傷付いてしまって、私が(一生)診てあげますね」と言うのも予想していたが、凜には言わなかった意地の悪いクロエだった、
凛の隣でも「七英雄」と聞いてしまったルヴィアも震え始め、エーデルフェルトとか魔道の新参者、弟子の弟子の弟子が魔法では落ちこぼれて、それでも経済的に成功して、金の力で魔道を極めようとしている所で、「七英雄を指導した魔導士として歴史に名前を刻むことを許す」と言ってみたくなり、旅支度を捨てた。
「ねえ、イリヤ、あんた何で帰り支度してるの?」
「え? 当り前じゃない、美遊とお別れするのは寂しいけど、私も帰って美遊みたいにお兄ちゃんに甘えるんだもん」
クロエはイリヤに向かって、悪魔の笑顔で微笑んだ。
「そう、お兄ちゃん、にね? 知ってる、一回養子でも兄妹になった子はもう結婚できないって」
イリヤは少ない荷物を取り落とし、こっちの世界のお土産とかも床に散らばって転がった。
「アタシは従妹だから結婚できるんだけどね? イリヤ可哀そう、こんなに大好きなお兄ちゃんと結婚できないなんて、ウフフフフフフ」
「で、できるもんっ、血が繋がってないし、お兄ちゃんパパの養子だもんっ」
「う〜〜ん、養子縁組した時に、結婚させるって決めてて一緒に届けも出したら大丈夫だったんだけど、一回兄妹になるとダメなのよね」
「うそっ」
「嘘だと思う? こっちの世界もおんなじだと思うけど…」
イリヤもガクガクと震えだし、もう兄が学校で桜とかいう後輩と良〜〜い感じで出来上がっていて、ゴールイン寸前なのをクロエと結託して亡き者にしようとしたり、雁夜オジサンをけし掛けて「お母さんの葵さんそっくりだ〜〜、オジサンはね、オジサンはね」と言わせて、ほかの並行世界と同じようにレイ〜プさせて処女も失わせてやろうとしていた、最低の二人だった。
クロエとしては、ほかの女をこの世界に置き去りにして、桜とか言う後輩も追い出し、自分だけがお兄ちゃんと仲良くなって結婚するつもりでいる計画を発動させていた。
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