第百二十四話
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んなことは、こちらも承知の上だ。カマイタチはユウキに避けられた瞬間、まるで穴の開けられた風船のように破裂し、意識していない風圧がユウキの背後から炸裂した。まるでジェットコースターにでも乗っているような感覚だろうに、ユウキはそれでも目をつぶらないように見開き、剣を放さないようにしっかり握っている。
「……そこだ!」
こちらからの反撃に対抗しようとしているのだろうが、それならユウキの手と剣と目が届かない場所に攻撃するのみだ。必死にジェットコースターの風圧から逃れようとしているユウキの両翼を、背後から放ったクナイが貫いた。
「わぁぁぁぁぁぁぁ!」
そして翼を失ったユウキは飛力を失い、ジェットコースターの勢いのまま地上に着陸――いや、落下した。そんな落下の勢いでHPが半減しないかと期待したものの、デュエルが決着しないところを見るに、どうやら上手く受け身を取ったらしい。
「…………」
「……残念、近づいて来ないなんて」
ユウキの落下地点――土煙があがってよく見えない場所に、俺は近づくことはなく容赦なく観察する。そして大地に流れる風によって土煙が晴れていくと、愛刀を如何なるソードスキルにでも対応出来る構えでもって、ユウキがこちらを待ち構えていた。予想通り、落下の隙を狙ってこちらが攻め込むのを、逆に利用してやろうという腹積もりだったらしく。
「危ない、危ない」
「そんな平気そうな顔で言われてもなー」
こちらも反応速度と高速の斬撃には自信があるつもりだが、細剣が如くカスタマイズされたユウキの片手剣は、明らかにこちらの日本刀の斬撃より早い。翼を奪ったとはいえ、下手に近づいたらやられる、というのは変わらない。
「……なんて。ショウキは平気そうな顔して、内心『近づいたらヤバかった……』とか思ってるんでしょ?」
「……黙秘する」
どうしてバレてるんだ――と、内心では頭を抱えていると、ユウキが構えていた剣を平常時に戻していく。いや、平常時に戻しているのではなく、元とはまるで違う構えに変わっていた。
「でも……そろそろ、決着をつけようかな……」
その構えはあらゆるソードスキルとは違うもので、故にあるソードスキルであると示していた。この世界で彼女にのみ許された、オリジナル・ソードスキル――マザーズ・ロザリオ。
以前、ユウキにその名の由来を聞いたことがある。すると照れくさそうに笑った彼女は、『昔、お母さんが神様の話をしてくれたことがあって』と、嬉しそうにもしながら語ってくれた。
特に宗教のことは詳しいというわけでないが、ロザリオとは神に祈りを捧げるための、日本でいう数珠のようなものだったはずだ。マザーズ・ロザリオ――母の祈りとでも言うべく名付けられたそれは、神速の十一連撃を
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