暁 〜小説投稿サイト〜
To Heart 赤い目
来栖川綾香
[7/7]

[8]前話 [9] 最初
な音が聞こえた。
 ドーン! ガラ、ガシャーン!
「ふ、藤田さん、何してるんですかっ!」
「げっ、琴音ちゃんっ!」
 入口を死守していたはずのセバスチャンは、超能力少女の前に玉砕したらしい。
「どうして綾香さんと……」
 今回は言い訳のしようも無く、しっかりキスしちゃっていた二人。そして琴音は、滝のような涙を流しながら、フラフラと近付いて来た。
「そんな、私と約束したじゃないですか、私と……」
 バーーーーンッ!
 風呂場の鏡やガラスが全て吹き飛び、破片が宙を舞い始めた。
「キャアアアアッ!」
(あ、プラネタリウムみたいでキラキラしてて、なんか綺麗)
 死を受け入れたのか、何か達観して諦念している浩之。
「もう藤田さんを殺して私も死ぬ〜〜〜っ!!」
 ガラスの破片を操り、中心にいる二人に向けて投げ付ける琴音。
「綾香、一緒に死んでくれるか?」
「いいよ、浩之となら、もうどうなってもいいよっ」
 もう助からないと覚悟した浩之と、これ以上、恐怖の体験が続くより、死を選んだ綾香は、抱き合ったまま手と足をしっかりと絡ませて来た。

 その後も、いつまでもやって来ない痛みを待っていると、あの声が聞こえて来た。
「え? 「お爺様も、お婆様以外の女性は沢山いらっしゃいます」「ですからマルチやセリオ、あかりさんや葵さんにレミーさん達も呼んで、みんなで楽しく暮らしましょう」だって?」
 やはり普通人とは器が違うらしい芹香、夫の浮気ぐらい気にしないらしい。ちなみに浩之が自分の夫になって、自分が正妻になるのは既に決定事項だった。
 ニコニコニコ
 しかし、芹香の笑顔がとても怖かった浩之。きっと自分より先に、妹や琴音、マルチや葵を頂いてしまったのが、お気に召さなかったらしい。
「ああっ、いやっ、いやああああっ!」
 壁や床から出現した、綾香が最も怖がる物体?は、自分の舌を噛み切って自殺しようとした綾香を止め、手首や首につけようとした傷も、ガラス片を奪われて阻止された。
「ひいっ、いぎいいいっ!」
 死ぬことも許されなかった綾香は、壊れてしまってその場に倒れた。

[8]前話 [9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ