来栖川綾香
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も立たないのを思い知らされ、もう頼りになるのはセバスチャンの各種能力と、琴音を操れる浩之だけだった。
「すぐ戻って来るからな、心配するな」
「だめっ、だめえっ、来ちゃう、来ちゃうよおっ」
綾香を置いてドアを開け、浩之が立った時、それはやって来た。
「イヤアアアアッ!!」
二台目の来栖川のリムジンが到着し、「あの人」を降ろして立ち去った。
「藤田様っ、どうかっ! 綾香様をお助け下さいっ! 報酬なら私の命でも何でも差し上げますっ! ですからぁっ!」
セバスチャンも綾香に覆いかぶさるように守り、我が子を守るより強く抱きしめていたが、リムジンの外にいる人物には敵うはずも無かった。
浩之も、どこかの祐一クンのように詰みとチェックメイトと死刑を覚悟したが、ヤンデレーな彼女に向かって歩き、唯一対抗できると言われる「逆ギレ」で琴音に向かおうとした。
「おい、俺が待ってろJっHって言ったのに(言ってません)それぐらいの言いつけもM、ま守れないのか、だった、ら、もうお前とは……」
琴音の笑顔が怖すぎて、盛大に噛んだ、これ以上無いと言うぐらい噛んで「お前なんかとは付き合えね〜よ」と言い切れなかった。
その後、狼狽える予定の琴音に逆ギレを繰り返し、自分に優勢に話を運ぶつもりだったが、一連の事件を起こした超能力少女が怖すぎて、攻め切れなかった。
「藤田さん、その女、誰?」
ヤンデレ女から、一番怖い「浮気相手の女」扱いされた綾香。琴音も綾香を知っていながら、あえて浩之の口から言わせようとした。
「綾香って知ってたじゃないか? さっきも境内で呼んでただろ?」
浩之クンは答えを間違った。正解の例としては「何だ?あんな男女、芹香のイモートの綾野だっけ?アソ子だっけ?忘れたよ」ぐらいにしておかないとヤンデレの人は満足しない。
「へえ、藤田さんが一番大切な人で私やお姉さまを放り出して助けに行くぐらい大事な人なんですね?」
病んだ人はジャッジメントチェーン?を発動させるため、また綾香の心臓を握り潰すような動作をした。
「ギャーー! やめてくれっ!」
綾香の叫び声も聞こえたので、浩之は坂下の言葉に従って琴音を抱きしめ、唇を強引に奪った。
「うっ、ううっ」
琴音の腕が上下し、浩之の背中に落ち着いた所で、リムジンの中で泣き叫ぶ声が収まった。
「ずるい人……」
本日最初の正解を選んだ浩之だが、今度は芹香の方角から恐ろしい冷気を感じて、何か言われたような気もしたが、翻訳すると夜に眠れなくなるので、ゴン太君方式で話すのをやめた。
「あいつは味方でもないけど敵じゃない、坂下とか、あ…あいつらの仲間だ、家に入れて寝かせてやってくれ」
途中「葵ちゃん」と言いそうになって、自分の身の危険と葵の危険を察して「あいつら」に変更したが、手遅れだ
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