来栖川綾香
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た場所から、こうやって心臓を掴まれて」
「な、何ですと?」
「いやあっ、あの子がまだ私の心臓掴んでるのっ!助けてっ、助けてよ〜、浩之〜〜っ」
胸を掻きむしり、自分の心臓は琴音の胸三寸でいつでも止められる。そう思っている綾香は子供のように泣き叫んだ。
「もう大丈夫だ、俺がそんな事させないからな? 「俺の友達に手出しするような奴とは付き合えない」って言ってやるから、安心しろ」
「うん、うん〜〜、ありがとう、ありがとう〜〜」
綾香の震えが「半分だけ」収まった。後は「お友達」「大きなお友達」を連れ歩ける怖い人をどうにかすれば、哀れな少女は助かり、アメリカでもどこにでも送り出せばいい。
「それにあの子、マルチとかセリオ以外にもロボットを操れるから… 工場の方でも何かあったんだろ?」
「ご存知でしたか、工場でも事故があり、ロボット達が人を襲い始めました。しかし、数分するとそれも収まり、芹香お嬢様から迎えを寄越すようご指示があり、工場の件も「気にしなくていい」と」
経済的な損害より、自分と似た力を持つ新しいお友達、それも敵対者を一瞬で滅ぼせる一騎当千の兵を手に入れ、当主も芹香も笑って喜んでいた。
「綾香様、一旦ご自宅に戻られますか? それともこのまま空港に向かわれますか?」
そこで、リムジンの「上」から声が聞こえた。
『セバスチャン、藤田くんを外国に行かせてはならぬ。綾香は両親の所でも、どこにでも行くのを許す。相続や次期当主の座からは外れるが、仕方あるまい』
「きゃあっ、いやああああああっ!」
取り乱す綾香を抱き締めて耳も塞いでやる、屋根の上からは、カラスの声真似のような言葉が聞こえたが、話している相手は明らかに現当主で、浩之の海外逃亡は許可されなかった。
セバスチャンも国外逃亡は一旦諦め、後ろから着いてくる「巨大怪鳥」に窓枠を捕まれ、「ふりだしにもどる」事態にならないよう、綾香の邸宅に向かった。
綾香の邸宅に着くと、車のライトが当たる前に立った琴音が笑顔で出迎えた。もちろんエンジンの再始動など許されるはずもなく、バッテリーの電源も全停止して、動けない箱の中で震えている綾香。
「琴音ちゃん」
「これが姫川様の力、一体どうやって?」
ハンビーを犠牲にして振り切ったのに、汗一つかかず笑顔で佇んでいる少女。
間違いなくテレポートで到着したと思われるが、それも「藤田さんの居る場所」と願うだけで転移できる、悪質なテレポーターだった。
その間にも綾香は、心臓が苦しいと言いたげに過呼吸を起こし、恐怖に震えていた。
「ちょっと話してくる、そこで待ってろ」
「いやあっ、置いて行かないでっ、あたしを見捨てないでぇっ」
この世に何一つ縋るものが無くなった綾香。心と体を鍛えるため何年も修練を積んだが、格闘技など何の役に
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