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To Heart 赤い目
来栖川綾香
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私にはとてもそこまで出来ませなんだ」
 腰を抜かして、その場で倒れるしか出来なかった自分の反応を思い出し、「お友達」に話し掛け帰らせる勇気を持っていた浩之に、綾香の警護を頼もうと考えるセバスチャン。

「以前も、日本に帰って来られて少し経った頃、同じような事がありました。それから綾香様は、何かに憑かれたように武道にお励みになられ、「えくすとりいむ」なる競技で優勝なさるまでに…」
 この場合、憑かれたのではなく、憑かれないように努力したと思われる。
「それで今度は2回目だったから、忘れようにも忘れられなくて、俺を探してたのか」
「うんっ、グスッ」
「藤田様、できましたらこのまま、私共の屋敷にご逗留願えませんでしょうか?」
「え? それはいいけど、綾香がこのままじゃあ、便所や風呂まで一緒に付いて来そうだな」
「いい… 見られてもいい、見てもいいから姉さんからあたしを守って」
「お、おい」
「だって、シャンプーする時に目を瞑ったりしたら、絶対出てくるもんっ、トイレで一人になったら、床や天井、それに便器から… ひいいっ!」
 そう言って、座席の下から出て来ないか探して、リムジンの中を逃げ回る綾香。
「落ち着けっ、今は出ない、出ないからっ」
 そして、最後には浩之の膝の上に座ってやっと落ち着き、震えながら抱き着いてオイオイ泣き出す綾香。
(これがあの綾香なのか?)
 余りにも情けない綾香を見て、「あの人達」の力を思い知る浩之。霊力の無い人間が、如何に徒手空拳で戦った所で「お友達」には全く効果が無い。

「実は、あの力こそが来栖川を治める力。 お二方のご両親にはその力は無かったのですが、現在のご当主様も同じ力をお持ちです」
「でも、遺伝で先輩には出たんだ」
「左様です、そして、その力を見せられたご両親も、綾香様とご同様」
「じゃあ、先輩だけ日本に置いて、海外に行ったのって?」
「はい、「お友達」を見てしまい、芹香様を置いて、何もかも無かった事にして海外に出帆なさったのです」
「そんな、ひどいっ」
「いえ、アレを見て耐えられたのは、今まで藤田様と私だけ、どうか悪く仰らないで下さい」
「いや、もう一人いるんだ、それも全然平気で、「お友達」になった子が」
「なっ、何ですとっ、それでは姫川様とは、生きている方なのですかっ? 私はまたてっきり」
 死んでいるお友達が一人増えたのだと思ったらしい。
「ああ、「姫川琴音ちゃん」って1年の女の子なんだ」
「そんな… 普通の方がまさか」
「普通じゃない、テレキネシスを使う超能力者だし、メイドロボってどうやって操るんだろうな?」
「…………」
 返す言葉も無く、震えているセバスチャン。

「さすがの綾香も、その子の力には叶わなかったんだ。テレキネシスで吹き飛ばされたり、離れ
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