来栖川当主
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「私はお嬢さん方二人共、藤田さんに近づく女として亡き者にしようとしたんですよ? こんな女を……」
なでなで、なでなで
「はい? 「話さずとも分かる、君の回りにいる動物達も言っている、「不幸の予知」で友達もいなかった辛さは私達にも身にしみて分かる。そんな君に初めて友達、いや恋人ができてしまった。そんな君から彼を取ろうとする者、全員敵に見えるのは仕方がないことだ」ですか?」
琴音の赤い目から、また涙が溢れだし、穢れを洗い流して行った。
「え? 「そうだ、わしとも友達になろう、是非そうしよう。 ん? ワンちゃんはどうして欲しいのかな? そうか、家でも上手く行っていない、ではうちに養子に来てくれないか? 芹香の本当の妹になって欲しい。(綾香はもういらん)彼とも結婚したい? うむ、全て段取りしようじゃないか」ですって?」
今まで忌み嫌われていた自分の力、それが来栖川の家でなら「才能」として扱われ、同じ力を持つ人物からは、友達に、養子に、浩之との結婚まで全て面倒を見ると言ってくれる。
途中、綾香に対して何か言ったような気もするが、小声なので訳さなかった。
「え? 「私も藤田さんと結婚したい? 琴音さんを妹にして、三人で結婚したい、だと? そうか、琴音さんさえ良ければ構わんが」ですって?」
ポッ、なでなで、なでなで
「私とお姉さまも、結婚……(ポッ)」
自分の意思は完全無視で、色々と話が進んでいるので驚愕する浩之。琴音の方も、嫌がるどころか、「お姉さまの嫁」になれるのを、嬉しそうにしていた。
そこで御簾の外に座り、唇の動きを読んで当主の通訳を果たすはずだった男が、琴音に向かって叫んだ。
「思い上がるなっ、そこの娘! 来栖川グループでの損失が一体いくらになるのか知っているのかっ? 工場だけでも三十億以上、それに人的被害は入っていないんだぞ? お前達が一生働いても返せない金額… はっ? やめっ、うわああああっ!」
ドボーーン!
男が喚いた途端、部屋の外にいた「大きなお友達」の白い手が、片手で男を掴んで庭の池に放り投げた。
浩之の右肩には、悪魔の心が止まって「こんな危ねえ女今すぐ捨てて、隣のお嬢様に乗り換えろ、でねえと一生タダ働きだぞ」と囁くのが聞こえ、左耳には「この世に寄る辺なき少女、君が受け止めなくて誰が受け止められよう」と囁いていた。
「え? 「いや、すまんすまん、金で脅すような真似をして申し訳ない、なあに来栖川の当主なら、一回のパーティーで三十億ぐらいすぐ使っちゃうよね? そうだ、すぐパーティーにしよう、みんなも入って入って」ですって?」
先ほどの、手の長さが3メートル、腕の直径だと80センチぐらいある大きなお友達とか、当主の言葉に恐れ慄き、すぐに退出したくなった浩之だが、それは既に手遅れだった。
『コ
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