145部分:白銀の月の下星々は輝きその三
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白銀の月の下星々は輝きその三
その中新しく参入したセティ、サイアス、ラインハルトの三人は卓の隅で話していた。
「とすると帝国からの追っ手が向けられるというのですか?」
ラインハルトが真摯な顔でサイアスに尋ねた。
「はい。私が解放軍にいると解かった以上必ずや兵を送って来る筈です」
「そうですか。そしてどの程度の軍が?」
セティが問う。
「おそらく十二万程。将も然るべき人物を送ってくるでしょう」
「十二万・・・・・・。トラキアの精兵を前にしては厳しいですね」
ラインハルトの声がくぐもった。
「しかもトラバント王は一騎で敵軍を破った事もある男、そう容易には勝てません」
「何言ってんだよ、それもお得意の騙し討ちじゃないか」
ファバルが口を挟んだ。見れば一同三人の話を聞いている。
「講和を結んで両方共軍を引き揚げた後自分だけ追撃して夜襲を仕掛けてね。ほんっとうに見事よね」
直情的なラドネイが珍しく嫌味を言う。
「シレジアにも来たわよね。そして戦えない子供を殺したり無実の人を反逆者に仕立て上げて帝国に引き渡したり」
フィーの緑の瞳に嫌悪が差し込める。
「その通りだ。レンスターは昔からあの野獣に脅かされてきたのだ。あの男は人ではない。血と死に餓えた山犬だ」
レンスター出身のイリオスは殊更にトラキアを憎んでいる。
「イザークでも酷かったぜ。俺とヨハン兄貴がアグストリアのブリアン兄貴のところへ行っている間に暴動が起こったんだがそれを嗅ぎ付けて頼まれもしないのに来やがった。そして掠奪と虐殺を繰り返したうえで法外な謝礼金をふんだくりやがった。全くとんでもねえ野郎だよ。エダとディーンには悪いがな」
ヨハルヴァが言った。
「いや、我等は元はマンスターの生まれ。トラキアの侵攻で孤児になりハンニバル将軍の部下に拾われトラキア軍にいたのだ。もっとも王のやり方について行けず今ここにいるのだがな」
「へえ、そうだったのか。それは知らなかったな」
「だが我等のように王の下を去る者はほとんどいない。トラキアの者にとってトラバント王は救世主なのだ」
「それが解からねえんだ。何であんな野郎にトラキアの奴等がついて行くのか」
アサエロが右目を歪めて言った。
「・・・・・・・・・」
ディーンもエダも何か言いたげであったが話そうとはしなかった。
「セリス公子はトラキアと講和されるおつもりでしょう?いきなり背中からブスットやられないかしら。キュアン王子やエスリン王女みたいに」
「ちょ、ちょっと・・・・・・」
ミランダをラナが止めた。彼女はリーフを見てハッとした。
「ご、御免なさい・・・・・・」
だがリーフは穏やかに微笑んで手を横に振った。
「いえ、いいです」
「とにかく我々は全く信用の出来ない危険な男と剣を交
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