滅殺
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「あの、滅殺です」
「姫川…… 琴音」
おまけシナリオのように、琴音の背中には真紅の「天」の文字が浮かんだ。
どうやら「不幸の予知」から解放された少女は、自分以外にも「なでなで」してもらったロボットがいたり、空手部の先輩から部に戻るように言われた同学年の女が、運命の人に「股割り」してもらったり、緊張しないよう「体をほぐして」もらって先輩と戦って勝ったり、幼なじみとも恋人同然の暮らしをしていたり、来栖川のお嬢様ともゴン太君方式で会話ができて、怪しい儀式にも何度か付き合い非常に親密にしていて、その妹とまで格闘関連で親しくして一緒にトレーニング、毛唐の帰国子女は運命の再開などしやがったので、全員を二度と浩之の前に立てなくなるよう叩きのめすつもりで来ていた。
「ふっ、私も舐められたものね、視線も合わせられないような大人しい子が、どうやって私を倒すの」
構えを取って力を込め、琴音を威圧する綾香、坂下、セリオ、葵。
「こうやって、です」
ヒューン! ドカッ!
「ぐはっ!」
琴音が片手を上げると、見えない衝撃波が綾香を襲い、後ろに吹き飛ばした。
「なっ、何だこいつっ、気功使いか?」
「テレキネシスだ」
綾香達が怪我をしないよう、琴音の力の正体を喋ってしまう浩之。
「そんなバカなっ」
「藤田さんっ、それは私達だけの秘密じゃなかったんですかっ! それをその人に簡単に… はっ! そうなんですね、この人が藤田さんにとって大切な人なんですね… 私なんかよりずっと!!」
すっかり出来上がって、逆上する琴音。 目付きが危ない領域に到達し、綾香に殺気が向かう。
「違うっ! こいつに怪我させな 「いやあっ! 聞きたくありませんっ!」 いように言ったんじゃないかっ」
すでに琴音は耳を塞ぎ、大声を出していたので、浩之の言葉なんか聞いちゃいなかった。
「聞きたくないっ! 藤田さんの口から他の女の名前なんか聞きたくないっ! それも愛の告白なんてっ!」
すっかり暴走して、浩之が「おれはこの女が好きだーー!」とでも叫んでいるように見えたらしい。
「許さない… 私から藤田さんを奪って行くなんて、絶対許さないっ!!」
左手で耳を塞いだまま、右手を伸ばして何かを掴むような動作をする琴音。
「ぐううっ」
そこで何故か、胸を押さえ、苦しそうにうずくまった綾香。
「どうした? 綾香っ」
「綾香さんっ」
「琴音ちゃん、何したんだっ?」
「私、あれから練習したんです、この人達に勝つためにどうすればいいか。 どうです? これなら大きな力を使わなくても、貴方達を倒すなんて簡単」
「アヤカサン、心拍ガ低下シテイマス」
倒れた綾香を仰向けにしたセリオが、心臓マッサージを始めた。
「まさか? やめるんだっ! 琴音ちゃん」
「いやっ、来ない
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