レッドホワイト・バレンタイン
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甘くて、余くて、ほんの一筋ほろ苦い。
甘さと余さは恋の味。
ほんのちょっとのその苦さは、きっと、愛の味。
***
地球、特に俺の故郷たる日本において、2月14日というのは重要な意味を持つ。別に祝日というワケではない。海外ではどうなのか知らないが、日本では別に休日でも何でもない。カレンダーは赤文字ではない。休日にしてくれればいいのによ畜生め。
まぁ、休日にしてしまったら『渡すものも渡せまい』という、国側の粋な計らいなのだろう。そもそも義務教育課程では基本的に『不要物』として『ソレ』の持ち込みが禁止されているということは考えないのだろうか。いや人数的には小中学生よりかは高校生以上の人のが多いんだろうけどさ。それだったら社畜国家日本でなら普通に社会人は休日にしても出勤ではないだろうか。
……話がそれた。
ともかく。2月14日というのは、俗に言う『バレンタインデー』という奴である。聖ウァレンティヌス祭。恋愛と結婚を司る聖人の日。
もともとは、かつてローマ帝国で、故郷に恋人を残してくると兵士の士気が下がるということで(あれだ。「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」という奴である。もちろん直接の関係は無いが)、兵士の無許可での結婚を禁止していた折、ウァレンティヌスというキリスト教の司祭が秘密裏に兵士たちの結婚をプロデュースしていたのがばれて、2月15日に在った豊穣を祝う祭日(その行事の中には合コン的なモノも含まれていた)の前日、というあてつけの意味も込めて彼を2月14に処刑したことに端を発する。
兵士たちの自由な結婚を推奨した聖人に敬意を表する日。まぁ諸説あるが、もともとはそんなものである。男性は女性に、女性は男性に、日ごろの感謝と愛を込めて贈り物をする――そんな日である。
ところが、これを祭典好きかつ商魂たくましいごっちゃまぜ国家日本は目を輝かせて『改造』した。
2月14日、バレンタインデーは、『女の子が好きな男の子にチョコレートを贈る日である』、と。
お分かり頂けるだろうか。うら若き乙女たちから幼女、果ては奥様方に至るまで、愛する人や家族に向けてチョコを作るあるいは買う。最近では同性同士での『友チョコ』とやらも流行しはじめ、ますます日本人はこの日にチョコ(あるいは材料)を買う。おまけに近年では海外にまでこの文化が逆侵食し始めたというではないか。
まさしく、お菓子会社の陰謀である。
付け加えると――人類の間で、『格差』が浮き彫りになる日でもある。
世の中には、『モテる男』と『モテない男』がいる。バレンタインデーにおいて、前者は勝利者だ。大量のチョコレートと愛を受けとり、暫くの間間食に困らず、更には誇りと栄光を得ることができる。そのくせ奴らは「こんなに食べきれな
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