レッドホワイト・バレンタイン
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るからである。
……まるまるである。くりかえす。まるまる空いているのである。まるまる空いているのである。大切な事なので何回でもいう。
さすがにずっと一緒に行動するなんてことはあり得ないと思われるが……。
「……いや、確かにエルシャと友達なのなんて俺くらいだとは思うけどさ……」
町の中心にある広場、その噴水の淵にテンプレートにも腰かけ、俺は天を仰いで独りごちる。
デート。女の子と二人でお出かけ。フィクションの中でだけ起こり得るものだと思っていた。何着ていけばいいのか良く分からなかったのでてきとーに持ってる服の中で悪くなさそうなやつを選んだ。私服センスはねぇんだよ悪いか、あぁん?
ともかく、女の子と二人で、プライベートに出かけるのは、前世含めてこれが初めてである。
そもそもどうしてまたこんなことが起こったのかがまず理解できない。
エルシャと俺が初めて出会ったのは、今年の五月……俺がソレイユ少年に憑依したのは去年の三月の事なので、転生してから二か月後の話である。
魔法学校では毎年五月に、近隣のダンジョンに出かけてタイムアタックをしかける『攻略祭』というものをやる。地球で言えば運動会のようなもので、ここでもまた格差が露見するのだがまぁ危険度は段違いだ。
パーティを組んで参加するのが義務なのだが、残念ながらクソザコナメクジの俺と手を組もうなどと言う生徒は誰もおらず。しかして参加もまた強制という、なんともまぁぼっちに優しくないシステムである。ソレイユ少年は去年どうやってしのいだのだろうか……などと途方に暮れていると、一人だけ、パーティを組むあてがないのか、うろうろしている無表情な少女を見つけた。それがエルシャである。
お互いにパートナーが見つからないということで、互いの戦闘力は期待しないことを条件にコンビを組むと、俺達はダンジョンに突撃。……結果として、エルシャ一人でその圧倒的な戦闘能力で行く手を阻むモンスター達を殺戮し、そこそこのタイムでゴールした。
以後、エルシャは徐々に俺に話しかけることが多くなり、二月である現在では大分親しい間柄になった、のではあるが。
それとこれとは話が別である。
まさか異性として見られているなどと言うことはあるまい。強さ、顔の良さ、金の量がモテ度の基準となるこの世界に於いて、俺及びソレイユ少年は最底辺である。雑魚い、やや不細工寄りのフツメン、没落した商人の家の出で金もなく、農業にいそしんだわけでもないから無駄にステータスが低い。そんなビルドエラーの賜物である俺に、いくら迫害を受けているとはいえ、エルシャのような美少女が好意を抱く要素があるだろうかいやない反語。豈有好意抱要素也、である。漢文は
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