レッドホワイト・バレンタイン
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いよ」とか苦笑するなどと言うさらなるイケメンアピールらしきものを繰り出し大量の女を落としていく。
対して後者は、完全なる敗者だ。義理チョコすらもらうことは出来ない。家族からのチョコレートすらないことも多い。残るのは妙な敗北感と心の傷、あと自分で自分に渡すためのチョコを購入した代償として削れた財布の中身である。
結論から言おう。
クソ喰らえである。なぜ偉大なるローマは聖ウァレンティヌスなどという人物を生み出してしまったのか。そして何故日本はこのバレンタイン商戦をつくり上げ、聖菓戦争を開幕させたのか。考えた奴を小一時間ほど問い詰めてギロチンにかけたいまである。
――なぜ、そんなことを言うのか?
簡単である。俺は、地球にいた時、完全なる敗者だった。クラスメイトの女子からチョコをもらったこともなければ、家族や親戚からもらった事さえない。気になる女の子が目の前で嬉しそうにクラス一のイケメンにチョコを渡しているのを見たこともある。本当にクソだと思うよ。
ただ、まぁ。
そんな生活とも、既にお別れを告げている。
別に勝者になったわけではない。俺は今も相変わらず敗者だし、モテない男のさいたる者である。
ではなぜ、敗者生活に終わりが告げられたのか?
答えは簡単である。
――俺が今いるこの世界は、地球ではないからだ。日本ではないからだ。
何だか良く分からないが、どうやら俺は事故だか何かで死亡し、異世界転生とやらを果たしたらしい。何だったかな……幼女が道に落とした人形を救おうとしたらトラックにはねられたんだったか。テンプレ過ぎて草も生えない。
ともかく、俺は剣と魔法のファンタジー世界らしき世界に転生し、24歳の絶賛就職活動中の無職人間ではなく、17歳の魔法学校の生徒として新たなる生活を送っている。
送っているのだが。
「はぁ……まさかこっちにも似たような行事があるとかクソですわ……またあの地獄を眺めることになるのか……うぜぇ……腹立つ……」
2月14日は、この異世界にも、存在したのである。
***
俺こと、この世界での名前、ソレイユ・グノーシスは、基本的には『雑魚』である。
異世界転生を果たしたらなんかこうチートとか、有利な環境とかが揃ってそうなものだが、特にそんなことは無かった。
俗に言う憑依転生という奴で、死亡したソレイユ・グノーシス少年の代わりに、同じく死亡した俺の魂が装填され、一介の魔法学校生徒としての第二の人生を歩んでいる。
ソレイユ少年の学業成績は絶望的だったようで、ぎりぎり留年していないとかそこらだった。幸いにして肉体に引っ張られているのか大まかな知識の把握とか文字の読み書きとかは出来たのだが、その魔法知識は穴だらけ、加えてソレイ
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