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SAO‐戦士達の物語《番外編、コラボ集》
テーマ短編
ヴァレンタイン番外編:貴方に渡したい物
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いた真理が、悪戯っぽく笑う。

「そんなにチョコもらうなら、リョウが虫歯になったり、太ったりしないようにちゃんと言ってあげるのよ?あの子ただでさえよく食べるんだから」
「あははは……うん、言っと……く……」
冗談めかして言った真理にクスリと笑い返してそう返す。と、ふとその美幸の表情に、思慕の色が混じった。

「美幸……?」
「あ……そっか!!」
「!?」
いきなり立ち上がった美幸が、即座にクローゼットからクリスマスに贈られたのだというお気に入りのコートを取り出して羽織る。

「ちょっと出かけてくる!」
「え、今から!?もう6時半よ?」
「あんまり遅くならないようにするから!行ってきます!!」
言いながら最小限の荷物だけ持って、飛び出すように家を出ていく娘の後ろ姿を見ながら、真理は軽く肩をすくめた。

「甘酸っぱいわね〜」

────

2月14日

「はい涼人くん!!」
「おう、サンクス」
差し出された小箱を美雨の手から軽く礼を言って受け取ると、涼人は彼女がやたらキラキラした目で自分を見つめているのに気が付いた。明らかに目が「開けてみて!」と言っている。

「あー……開けても?」
「うん!どうぞ!」
若干苦笑気味に小箱を指すと、待ってましたと言わんばかりに彼女はコクコクと頷く。言われるがままに小箱を開くと、そこには三つほどの、丸い団子のようなものが入っていた。うっすらと中に、茶色い物体が見えるが……

「これって……大福ですか?」
「お、和人君正解!!天松製菓、生チョコ大福です!!」
びしっとサムズアップを掲げて、美雨が快活に笑う。中に入っていたのは、やわらかい餅にやはりやわらかい生チョコを包んだ菓子だ、なるほど言われてみれば確かに大福である。
それにしても……

「なんか俺のでかくね?」
「涼人くん生チョコ好きでしょ?」
「あー、まぁな?」
和人のと比べてあからさまに大きい自分の大福を見て尋ねた涼人に、美雨が悪戯っぽく笑って答える。え?それが理由?と言わんばかりに首を傾げると、美雨はにひひ、と笑いかけて考えるように唇に人差し指を充てて行った。

「あとは……うーん、愛情の差かな?」
「……お前なぁ」
「冗談冗談。去年お世話になったからだよ〜」
眉を痙攣させる涼人を面白がるように、笑いかけて、美雨はささっと下がっていく。たまにこういう本気か冗談か分からないことを言うため、涼人は若干美雨の扱いに困りつつあった。

美幸の予想通り、バレンタイン当日はダイシーカフェに集まっての男性陣へのチョコレート贈呈会になっていた。各女性陣が順番に男性陣を渡り歩いては、カウンターに座って一個一個やたらありがたそうに受け取るクラインや、その横で紳士的に、時々英語で礼を言ったりするエギル、受け
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