暁 〜小説投稿サイト〜
SAO‐戦士達の物語《番外編、コラボ集》
テーマ短編
ヴァレンタイン番外編:貴方に渡したい物
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オランジェットとかもあるよね……」
鮮やかな橙色と黒っぽいこげ茶色の対比が美しいチョコレート菓子を眺めながら、しかし何かもう少し決め手はないかと考える。
彼にとってはおそらくいくつももらうウチの一つのようなチョコレートでも、自分にとっては大切な一つだ。何か、そう、彼に対してメッセージというか、伝えたいことが伝わるような、そんな一つにしたいのだ。ただ、ならば何を伝えるか、という話になる。と言っても、自分から彼に対して伝えたい言葉など決まっている。とどのつまり言いたいのはたった一つで……

「……大好きだよって……」
「言えたらいいのにねぇ」
「な゛―――――――っ!!!!!?」
唐突に本の向こうからした声に反射的にベッドの上で美幸は飛び跳ねて部屋の入り口を見る。見ると、入り口である扉が開いて向こうから母、真理が顔をのぞかせていた。

「お、お母さん!!ノックは!?」
「したわよー?でも美幸全然返事しないんだもん。それで開けてみたら、何か真剣に読んでるでしょう?と思ったら急に、「大好「わ゛――――っ!!わ゛――――ッッ!!!」あ、ちょっと、本投げないの!!」
半狂乱になって手元のレシピ本を投げつける美幸に流石に真理は注意したが、どうやら彼女には聞こえていないようなので、結果として大人しく彼女が落ち着くまで待つ羽目になってしまった。

────

ようやく落ち着いた美幸の隣でベッドに座りながら、真理は少し苦笑して、彼女に問い掛ける。

「それにしても、まだ四日よ?さすがに早すぎるんじゃないの?」
「う……でも、試作品とか作るのに、どれくらい時間がかかるか分からないし……」
「まめな子ねぇ……まぁ、ちゃんとしたまともなものなら、貴女の料理ならきっと涼人は喜んで食べると思うけど」
「でもそれは、りょうがりょうだからだもん……みんなも、同じ……」
どこか真剣な声色で言う美幸に、真理は感心したように聞き返した。

「涼人、そんなにいっぱいチョコもらうの?」
「多分……」
「へえぇ……なーにあの子、何時の間にそんなモテるようになったの……って、でもそう言えば結構いい男、って感じになってたもんねぇ……そっかー、ライバル増えちゃったんだ」
「うぅ……」
言われた事が思いっきり刺さったらしく、顔をうずめて枕を抱き締める娘に、彼女はクスリと笑った。

「そうなるとつまり、涼人がどうこう、っていうよりは、美幸が良いか悪いかってわけね……それじゃあ仕方ない、か……」
「…………」
スッと一度美幸の髪をすくように撫でると、真理は傍ら立ち上がる。

「じゃあ、頑張ってね。あ、でも、それにかまけて夜更かししたりはしないように」
「うん、わかってる」
「ん、あ、それと……」
もう一個と言わんばかりに扉を開けたところで振り向
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