140部分:複雑なる正義その五
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複雑なる正義その五
暫くしてエバンスからリンダが来てアマルダやイリオス、ヒックス、ラインハルト兄妹といったフリージの心ある将達と知り合い孤独な境遇ではなくなった。何よりも傍らにはいつも微笑んでくれるイシュタルがいてくれた。
解放軍とアルスターで戦ったとき兄と会った。そして父の事も知った。アルスター城での従姉との別れ、新たに知り合った仲間達ーーー。自分を取り囲む境遇は急変した。今このミーズでセティを共に戦っている。悪い印象は受けない。むしろ今まで感じた事の無い不思議な感覚が生じようとしているが彼女自身は気付いていない。だがこれだけは解かっている。この人を助けなければならないーーー。ティニーは拳に渾身の力を込めた。
雷撃がセイメトルの胸を貫いた。すぐ後ろのトラキア兵も撃った。
すぐさま二撃目を放つ。最も近くまで来ていたトラキア兵を倒した。その時後ろで風が起こった。
「フォルセティ!」
先程大槍を全て破壊した魔法が今度はトラキア軍へ向けて放たれた。
二人に向かって突き進んでいたトラキア兵達を無数の鎌ィ足が襲う。マンスター城での戦いの時と同じくトラキア兵はその魔法の前に壊滅した。
二人は追っ手を全て倒すと自軍のほうへ駆け出した。
セティは駆けながらティニーの方を向いた。優しく微笑んでいる。
「ティニーさん」
「はい?」
「サポート有り難うございます」
ティニーはその言葉を聞いて顔が急に紅潮した。
「おかげで安心してフォルセティを放てました。やはり貴女は私が思っていた通りの方でした」
「そんな・・・・・・」
「もっと自信を持って下さい。そうすれば貴女はより素晴らしい輝きを出せます」
「は・・・・・・はい」
セティは火球を再び上へ向けて放った。すると前から喚声が起こり兵士達が現われ二人を迎えた。
夜が明けた。陽が昇ると同時にミーズ城に解放軍の大軍が押し寄せて来た。トラキア軍は伏兵とシューターを破られながらも竜騎士団を中心に果敢に向かって来た。
「退くな!陛下が軍を率いて来られるまで持ち堪えるのだ!」
コルータもマクロイも陣頭で指揮を執り戦う。マイコフも自ら城壁に立ち槍を手に防衛に努めている。
だがその中でアルテナは城から離れた上空で特に指揮を執るわけでもなく戦うわけでもなくただ竜に乗り戦局を見ていた。
「・・・・・・」
その瞳は物憂げであり右手に独特な形をした槍を手に暗く沈んだ顔をしていた。
「死ねぇ、トラキアの山犬共!」
フィンはかって主君キュアンから授かった勇者の槍を振るい戦っている。ドラゴンナイトを一騎倒した時ふと上空に留まっているアルテナに気付いた。
「あれはトラバント王の娘の・・・・・・?」
アルテナの名はフィンも知っていた。だが神ならぬフィンは知らない事もありそ
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