第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#47
FAREWELL CAUSATIONZ〜Brave Phoenix〜
[10/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ゲン》』
戦う前から勝敗は決まっている、
あの数では、どこに潜んでもすぐバレる。
チェスや将棋で云う処の 『詰み』
甲冑を纏おうと策を巡らそうと関係のない処刑法。
(なんてコト……なんて戦形を、咄嗟に繰り出すの……!
このままココに居るとヤバイ、外に出るのはもっとヤバイ……!
一体や二体なら兎も角、あんな数! とても全部は斃し切れないッ!)
“真・灼眼” が目醒めてはいるがこれまでの戦闘、
この能力は「単体」にしか向いていなかった、
故に多数相手ではその威力を使い切れない(というよりヤったコトがない)
対複数用の焔儀もあるが、小型とはいえソラトの分身なので
燐子のように容易く屠れる筈もない。
第一姿を現した所でその300が一気に向かってくる事、
ソラトが最後まで待ってくれる保証など何処にもない。
戦形の組み合わせは無限大、そのスベテを読み切り同時に対処するなど
“真・灼眼” でも不可能だ(脳裏で解析出来ても躰がついてこれまい)
「なら――ッ!」
ガラス張りのウインドウを突き破って外に出る、
暴力的な破壊音、静寂を引き裂く存在を嗅覚だけでも
探知できる者達が見逃す筈はない。
紅蓮の鳳翼を煌めかせ、キリキリッと鋼鉄の羽音を靡かせながら
少女は旋回しつつ天空に立った。
背の鳳翼が意志を持ったように大きく展開する。
眼下からはソコに殺到する獣の群れ、
さながら血泥の地獄に天から垂らされた光の糸に群がる亡者の如く、
だが主力の大部分が強襲する光景の中、路上に佇み様子を覗う者、
第二波に備え布陣を組む者、不測の事態に備えソラトの壁になる者と
勢力はその数だけ分散する。
“数は力” エリザベスのように究極レベルの能力でも持っていない限り、
原初から続くこの単純な法則を覆すのは至難の累乗。
だがそんなコトは既に解りきっている、ヤる前から出来もしない、
言い訳ばかり考えて何もしないというのは一番楽な方法、
そして一番卑怯な方法。
現実は自分の都合通りに動いてはくれない、
準備が出来るまで待ってなどはくれない、
「ちょっと」や「じっくり」や「できるだけ」と言って
問題を先延ばしにするヤツは、一生先延ばしにする。
大事なものを傷つけて、そのコトに無自覚なまま。
アイツを視てみろ、何も言わなくたって気持ちは伝わる、
言い訳なんかする前に行動で示す、
頼みもしないのに、腕一本だって投げ捨ててくれる。
「――ッ!」
切迫した抜き差しならない状況だというのに、
無明の双眸にすら雫が滲んだ、甘美な奮えに胸が締め付けられた。
幾千の愛の言葉よりずっと強い、幾万の優しさなんかよりずっと深い。
でもそれに甘えられない、感謝されたくてやったわけ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ