第1話 夢を持たない少年
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「あー、今日も何もねぇ一日だったな。」
俺は独り言を呟きながら歩いていた。
俺は希楽 絶牙。中学二年生の帰宅部だ。
まぁ、鍛えてはいるから別に部活に
入らなくても平気だ。めんどくさいし。
っと、いつの間にか横断歩道の前に
着いていたようだ。信号が赤なので待つ。
ふと顔を上げると、向こう側に親子がいた。
母親と女の子は幸せそうに笑顔を浮かべながら、
話をしているようだった。俺はそれを見て、
「家族か...」と無意識に言葉を漏らした。
信号が青になり、女の子が走り出した。
(元気なのは良いけど、怪我しないよう気を
つけろよ。)と心の中で思った。
すると突然、車のエンジン音が聞こえた。
慌てて音のした方を向くと、青信号だと
いうのに車が走っている。「女の子」の方に。
「ヤベェ!」俺は無我夢中で走った。
もう目の前で人が死ぬのは見たくない、その一心
で。
鍛えていたおかげか、間一髪女の子の元に
辿り着いた。俺は女の子を母親の方へ投げた。
親子は唖然とした表情を浮かべていた。
「良かった...」そう呟いた瞬間、強い衝撃に
襲われた。あぁ、俺死ぬのか。薄れていく意識
の中でそう思い、俺は目を閉じた。
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