幕間の物語:スリーピング・ナイツ
第十七話:取り戻した日常は罅割れて
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れで終わりだ。とは言え、本題はここからなんだけど」
?????本題?
そう疑問に思い、伏せていた顔を上げると、先程よりも真剣味の増した菊岡さんの顔があった。
「君は、未だに生還していないSAOプレイヤーがいることを知っているかい?」
「……ええ、ニュースとかでもちらほらと」
SAOは確かにクリアされた。事実、生還者もオレを含めて存在している。にも関わらず、未だに目を覚まさないプレイヤーが複数存在する。
原因は不明。茅場に聞こうにも、彼は既にこの世から去った。ただ、この件の原因は茅場ではないと漠然と思っている。アイツは言った、「私を斃せば全てのプレイヤーは解放される」と。アイツが、嘘をつくとは思えない。人に理解されぬ夢を抱き、大勢の人を葬った男だが、嘘をつくことはなかった。
「それについてだが、最近少し気になる写真がネット上にある。少し見てくれるかい?」
そう言って、菊岡さんは大きめのタブレットを起動させた。表示された画面には、解像度の荒い全体的に緑色や金色の色彩が多い写真が写った。
「……これは?」
「よく見てみてくれ」
菊岡さんの言葉に画像をゆっくりと端から眺めていく。
これは、なにか、金色の大きな柵?そしてその奥にははしばみ色の、少女、が?????
「ア、スナ??????」
その髪を覚えている。
その瞳を覚えている。
それは恐らく巨大な鳥籠。アスナを捕らえ、決して離さないという執念が具現化したかの如く、純金の柵は外界との関わりを断ち切ってしまっている。
まさか、アスナが未帰還者だというのか。ならばキリトはどうなった、ディアベルはどうなった。
あの空間にいたプレイヤー?????ユメは…ユメはどうなった!?
「やはり、君には見覚えがあったか」
「この画像はなんだ」
不安が押し寄せる。一体何人の人間が帰還できていないのかは分からないが、アスナが捕らわれてる以上、最後に同じ空間にいた人間も捕らわれている可能性は高いはずだ。
「これは今話題のVRMMO内で撮影された写真だ。《アルヴヘイム・オンライン》。剣と魔法と妖精の世界だ」
そのゲームなら知っていた。そもそもプレイしたことがあるし、なんならこの後もログインするつもりだった。待っているのだ、あの世界で、彼女が。
「情けないことに、なぜ帰還できないのか我々には解明できていなくてね。誰が、何の為に、一体どうやって……どれもこれも謎のままだ」
歯噛みするオレの目の前で、菊岡さんは目を伏せた。眼鏡を外し、取り出した布でレンズを拭う。
「何も分からない我々にとって、この何の信憑性もない画像ですら重要な手掛かりだ」
手を止め、目を伏せたまま再び眼鏡をかけ
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