幕間の物語:スリーピング・ナイツ
第十七話:取り戻した日常は罅割れて
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「簡単だよ。茅場晶彦があの世界を創生した理由。そして、彼の最期が知りたい」
茅場晶彦。SAO事件の首謀者にして、白亜の騎士ヒースクリフ。最終層にて君臨するはずだった最後のボスは、夢半ばにして黒の剣士キリトによって斃された。
ヒースクリフとは色々と因縁がある上、恐らく奴と最期に言葉を交わしたのはオレだ。なにせ他のプレイヤーが退去した後派手にやり合っていたのだから。
「茅場?????いや、ヒースクリフは最終層の到達する前、第七十五層で倒されました。あるヤツがヒースクリフの正体に気づき、その不死性を暴いたのがヒースクリフの終わりの始まりだった」
勿論、キリトとアスナの名前は伏せる。プライバシーの問題もあるし、オレが言わずともどうせコイツらはキリトの存在を突き止める。
「ヒースクリフはこの場で自分を斃すことが出来ればゲームはクリアされると言った。結果、ヒースクリフは剣によって斃され、SAOはクリアされた」
あの時のことは未だ鮮明に思い出せる。オレ達の前に立ち塞がった禍ツ神の恐ろしさ?????。
あの時はただ我武者羅に戦っていたから実感はなかったが、今になってよく生きていたなと心底思う。ディアベルやユメ、アルゴがいなければ本当に死んでいた。
「……ふむ。では、ヒースクリフがあのデスゲームを作り出した理由は、何か聞いていないかい?」
「『剣の世界』を真の意味で創造すること。そして、英雄を生み出すこと。アイツの目的は、端的に言えばこの二つです」
「剣の世界の創造は分かるけど、英雄を生み出すこととは?」
「アイツはどこか人間の持つ可能性とやらに変態的に拘る男でして、『人は、自身の命が脅かされた際にこそその性がより強く噴出する。私は見たいのだよ、絶望に屈せず、闇に抗い、立ち上がる人間の姿?????英雄の誕生を』なんて言っていた」
今でも思い出すことができる。ネロ達を殺し失意の中でヒースクリフに挑んだオレに、アイツはこう語った。
「……ふむ。では、君とヒースクリフのみが不自然にログアウト時間が遅かったのは、何か心当たりがあるかい?」
「??????????」
一瞬、言葉に詰まる。何故かは分からなかった。ただ、あの崩れ行く鉄城での戦いは他言していい気がしなかった。
「ああ、いや。言いたくないなら言わなくても構わないよ! 君のプライバシーの問題もあるしね」
そう助け舟を出してくれる菊岡さん。ただ、彼にこのような気遣いをされた時点で向こうはオレとヒースクリフの間に何かがあったことを悟っているだろう。詮索してこないのは、内容自体が目的ではないからか、それともまだ聞かなくてもいい時期だからか。どちらにせよ、オレは情報をまんまと奪われた形になった。
「うん、僕からの質問はこ
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