幕間の物語:スリーピング・ナイツ
第十七話:取り戻した日常は罅割れて
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った倉橋医師と数人の看護師達だけだった。末妹である木綿季はその時学校にいたらしい。木綿季の姉である藍子は?????
「……藍子は、もう長くないそうだ」
彼女を蝕む病は止まらない。日々悪化する病状を抑えるのが精一杯で、倉橋医師が言うに、保って一月。
「すまない」
オレが紺野家に引き取られた意味。オレに課せられた''兄''としての役目。どれも理解していて、どれも果たせない。
だが、分かっている。貴方達がオレを責めることはない事なんて。何もできなかったオレに遺してくれた言葉がある。貴方達の''息子''として、オレは最期の時まで二人を守る。
「だから、見ていてくれ」
誓いをここに。オレを本当の息子だと言ってくれた二人の為に、生きていく。
† †
「お帰り」
義両親への墓参りを済ませ病室に戻ってきたら、そこには先客がいた。
「倉橋さん、と誰だ??????」
最早見慣れた白衣の医師の姿の隣には、眼鏡をかけたスーツ姿の男が一人。
その男はオレの顔を見ると、ニコリと微笑んだ。
どうも、胡散臭い笑みに見えて仕方がない。
「初めまして。紺野縺くん、だね?」
「ええ、そうですが…?」
摩り切れかけている現実世界での記憶を手繰ってみるが、オレの交友関係にこの手の男はいなかったはずだ。
だとするならば義両親の関係者か、もしくはSAO絡みか。
「僕の名前は菊岡誠二郎。総務省通信ネットワーク内仮想空間管理課?????通称『仮想課』の役員だ」
仮想課?????。聞いたこともない役職だが、SAO事件を経てその対策として作られたとも考えられる。
差し出された名刺を受け取り一瞥するも、不審なところは見られない。
「……それで、そんな役員さんがオレに何の用です?
まさか、サバイバー全員に面会してる訳ではないでしょう」
死の牢獄と化したSAOから無事生還した人間のことを、最近ではSAOサバイバーと呼ぶらしい。
最も、自ら申告しない限りサバイバーであることなど他人には分からない為、このワードの使用頻度はそれほど多くはない。精々、当事者たちやニュースキャスター、訳知り顔で喋るコメンテーター辺りが使うくらいのものだ。
「ああ、そんなに警戒しなくても構わないよ。ただ話を聞きたいだけだから?????」
男はわざと大きな身振りをして此方の警戒を解こうとしてくる。だが、次に彼の口から出た言葉に、オレはこの男を警戒せざるを得なくなった。
「?????あの世界で茅場晶彦を除き、最もレベルの高かったプレイヤー。最後の生還者『レン』君に、ね」
† †
「?????で、何が聞きたいんです?」
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