第2章 魔女のオペレッタ 2024/08
18話 軋む軛
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る武器とは思えない、それこそ大剣や大槌といった大型武器もかくやとばかりの圧力を受けては苦悶の声が漏れる。
「おいおい、せっかく少しギアを上げたんだ。ノッてこなきゃ勿体ねえんじゃねえか」
「………ぐ、ぉォォォァあァあああッ!?」
再三の競り合い。しかし、相手が本気でなかった時点で既に拮抗さえしていなかった剣戟は無惨の一言に尽きた。
増した質量とは裏腹に、全く減速しない得物捌きを必死に凌ぐ。噂には聞いていたが、《魔剣》と謳われた逸品は伊達ではなかったということか。笑う棺桶の首魁の肩書きは伊達ではない。やはり尋常な実力ではないらしい。前方のあらゆる角度から振られる刃は嵐を彷彿とさせた。
刀身から伝わる振動が仮想の骨に響き、不快感が蓄積されていく。
一秒を経るたびに手の感覚が薄れ、柄を握る実感さえ既に褪せている。
いつ滑り落ちるか分からないなか、耳を劈くようなとめどない金属音の奔流に喰らい付き、どうにか刃を振り抜く間際に剣を捩じ入れることで何度目かも知れない鍔競り合いに縺れ込ませる。苦肉の策であるが、どうにかしがみ付くしかない。
「………なるほど、だいたい見えてきた」
「こふッ゛!?」
声の直後、脇腹に衝撃を受ける。
この戦闘が開幕してようやく使用したソードスキル――――《体術》スキルによる足技を受けて横薙ぎに弾き飛ばされ、とうとう片手剣が手元から離れて遠ざかった。故に、脳天を目掛けて繰り出される、追撃の振り降ろしを素手で受け止める。左手の中指と薬指の間から手首まで食い込んだ刃は右手も用いて降下を食い止めている為、今のところそれ以上深く達することはなさそうだが、持続的なダメージを発生させる条件を十二分に満たしていた。じわじわとHPを蝕んでいく刃を睨み付けると、PoHは発言を再開する。
「お前、本当は人を斬りたいんだろう? なぁ?」
「………な、に………?」
口角の吊り上がる嗤いを浮かべるPoHを見る。
怖気が全身を駆け巡ったのは、彼の笑みの邪悪さではない。その言葉が秘める重圧によるものだ。
「殺す快感を知ってるから、斬りたくて斬りたくてどうしようもない。だが、理性で蓋をしている。こうしている間にも、お前は俺を斬ることさえ理性で躊躇っている。………しかも、その衝動を本人が理解していない。おかしいわけだ」
「………違う、絶対に在り得ない………そんな筈はない………!」
否定する。全霊を以て、全てを賭してでも、そうあってはならない。
あれほどに命を奪ったことで苦悩を味わったのだ。何を罷り間違えても、自らあの惨劇を望むわけがない。
だが、自分の言葉がど
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