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第七十九話 あなたは独りではありませんよ。
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と、お言葉に甘えて、カロリーネ皇女殿下は第十三艦隊主計局オフィスを出た。ずっと室内にこもっていた身には暖かな春の陽光が眩しい。今日はよく晴れている。
 思わず伸びをしそうになるのをこらえて、カロリーネ皇女殿下は地上車が止まっているエリアに急いだ。運転は士官学校で習っているし、前世でも車の免許は持っているからお手の物だった。それにそもそも地上車は全自動で動けるのだ。目的地さえ設定すれば後は勝手に向かってくれる。
カロリーネ皇女殿下は静かに幹線道路を滑っていく車に身を預け、しばしの休息を楽しんだ。順調にいけば所要時間は約1時間だ。
「・・・・・・・・・。」
窓辺に左ひじを乗せ、頬杖をついて窓の外を見る。知らず知らずのうちに意識はこれまでに起こった過去の記憶に飛んでいった。


なんと自分は変わったのだろう。


前世では単なるOLだった。20代後半でもうすぐ結婚できて、これから幸せな家庭を築けると思っていた矢先に全部がパーになってしまったのだ。そうして生まれ変わったのが、まさかであろうゴールデンバウム王朝の帝室の血筋の一人という驚きからまたさらに一転、今度は血筋そのものを疑われ、こうして自由惑星同盟の士官の一人として暮らしている。
「夢、じゃないわよね。」
思わず頬をつねってみて痛さに顔をしかめる。その時トンネルに入ったが、光の屈折で窓ガラスには前世の自分とは似ても似つかない顔立ちの美少女が写っていた。
ほっそりした白い顔、皇女殿下時代は茶色の髪は後ろでシニョン風にして渦を巻いて左肩前に垂らしていたが、今はポニーテールにしている。青いマリンブルーの瞳は我ながら我の強い性格を現しているのではないかと思うくらいに濃かった。
「黒目から青目か。」
思わずそう言って、自分でくすっと笑ってしまった。笑える余裕がいくばくか出てきたのは、士官学校に入ってだいぶたってからだったわね、とカロリーネ皇女殿下は思い返している。それまでは不安で不安で仕方がなかった。アルフレートは士官学校を卒業して前線に行ってしまうし、ファーレンハイトもシュタインメッツも、共に自由惑星同盟の政府筋からの圧力で前線に出ざるを得なかった。侍女たちがいるとはいえ、カロリーネ皇女殿下は一人になったのである。時に一人きりになって、どうしようもない不安と寂しさで静かに涙を流したこともあった。
 こんなことでは駄目だ。そう思い始めたのが、士官学校に入るきっかけだった。もちろんアルフレートもファーレンハイトもシュタインメッツも皆反対したけれど「自分の身は自分で守る!」という決意が変わらないことを聞くと、最後には皆が納得した。せざるを得なかったのである。この先どうなるかもわからないのだから・・・・。
「どうなるかわからない。そうよね、もし・・・・。」
 そこまでつぶやいたとたんに言い知
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