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フロンティアを駆け抜けて
5VS6!ZワザVSメガシンカ(3)
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とを教えてくれて。お母様とお父様にも、伝えておくから」
「勝手にしろ」

 素っ気なくそれだけ言って、シンボルハンターの姿が黒く染まっていく。闇の中に消えていく。――すると、墓場だったはずの周り一体の景色も変わっていった。墓石がたちどころに並んで、ズバットの声が響いていたこの場所が、綺麗な夜の庭園へと。わざわざ戦うために風景を幻で作っていたのだろう。

「……不思議な人。あの人に……お父様は、憧れてたのかな」
「君のお父さんとお母さんが複雑な思いを抱えているように、あの子も色々やりきれないものがあるってことだよ……これから、少しずつ分かっていけばいい」
「うん、そうする」

 ジャックの言葉に頷いて、ジェムは立ち上がる。へとへとだけど、頑張ったポケモン達を回復させてあげないといけない。

「そうだ、すっかり忘れるところだったけど、君に会いに来たのは用事があるからなんだよね。……これも、運命なのかな」

 ふと思い出したようにジャックが言う。ジェムは首を傾げた。運命とはどういうことだろう。

「このフロンティアはポケモンバトルの最前線。しかし、この地方の頂点なしに最前線としてのブランドを確立することは出来ないーとかあの緑眼の子は言ってね。……チャンピオンが、ついさっきここに着いたんだ」
「お父様が……」

 今日ここに来るまでのジェムなら手放しに喜んで、今すぐ話をしたがっただろう。でも今は、現実を知って一言では言い表せない気持ちが去来している。お母様が苦しんでいるのにチャンピオンとしての務めを優先したことを……怒っている、自分がいた。

「いい機会だし、ゆっくり話してみればいいと思うよ。今まで君は良い子すぎたんだ。少しくらい文句を言ったってあのチャンピオンなら許してくれるさ」
「そう、かな?」

 今までジェムは父親に反抗したことは記憶する限り一切ない。だから少し怖いけど、でもジャックの言う通り向き合ってみたかった。

「うん……そうしてみる」

 気持ちを落ち着けて、言いたいことを考えながら歩き始める。その時――遠くから、建物に思い切り鋼の車で突っ込んだような、凄まじい衝撃音がした。



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