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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十八話 ミッドウェー本島ヲ攻略セヨ(その2)
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できていたのだ。
 それを見て取った長門はとっさに紀伊たちを環礁に押し出した。
「長門さん!?」
「行け!!ここは私たちが食い止める!!」
「で、ですが――。」
「あの狭い環礁の中での打ち合いは小回りの利かない我々には不利だ。だが、重巡以下の主砲では奴には太刀打ちできん。お前たちがやるしかないのだ!!紀伊型の底力、今こそ見せてやれ!!行け!!」
「私たちはここ、環礁の入り口で敵艦隊を食い止めます。」
大和が言った。
「そんな、無茶です。敵は戦艦を含めてとんでもない数ですよ!!」
徐々に近づいてくる包囲艦隊に絶望的な視線を投げながら紀伊が叫んだ。
「大丈夫。ここは狭隘な海域です。敵艦隊も横合いに展開することはできません。1対1なら、正面からの打ち合いなら、大和型や長門型は絶対に負けません!!」
大和がうなずいて見せた。
「早く!!」
苦渋の決断だった。だが、もう後戻りはできない。
「・・・・わかりました。どうか無事で!!」
紀伊は自分の周りにいる面々を見た。
「尾張、近江、讃岐・・・・もう一度だけ力を貸して。」
三人はうなずいて見せた。紀伊は周りにいた艦娘たちにも声をかけた。
「麻耶さん、愛宕さん、能代さん、夕立さん、磯風さん。お願いです。近接戦闘はあなたたちの力なしにはできません。」
「承知。」
磯風が短くいい、他の面々もうなずいたその時、大音響と共に巨弾が艦娘たちの周りに打ち込まれてきた。敵が接近してきたのだ。
「行け!!時間がない!!」
長門が叫んだ。
「私たちがここで敵を支えます!!早くっ!!」
赤城が叫んだ。赤城は「加賀さん!!」と悲鳴にも似た声をほとばしらせると、猛然と艦載機隊を虚空に放ち、敵に向けて突撃していった。負けじと飛龍、蒼龍そして大鳳たち空母部隊も、金剛、扶桑たち戦艦部隊も重巡、軽巡、駆逐艦隊も一斉に放射状に広がって眼前の敵に突入していく。

紀伊は戦慄を覚えていた。

圧倒的な数を誇る深海棲艦に突撃するなど、まるで前世とやらの大日本帝国海軍の特攻ではないか。
「違うわよ。」
尾張が紀伊に顔を向けていた。
「今、あんたが特攻だとかいうバカなことを考えているのであれば、それは違うわよ。彼女たちは信じているわ。あなたを、私たちを。だからこそ全力で支えようとしているのよ。それがわからないの!?」
尾張の言葉は紀伊に突き刺さった。辛辣な言葉だったが、それは的を得ていた。今ここでためらっていれば仲間たちが全滅するだけである。何のために仲間がここまでしてくれているのか。その答えを知った紀伊は、
「行きます!!全艦隊、続いてください!!」
そう叫ぶと、海面をけって環礁の中に突入した。他の艦娘も後に続く。それを見送った長門たちはうなずき合った。
「臆したか?」
「いいえ。」
陸奥は
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