第三十八話 ミッドウェー本島ヲ攻略セヨ(その2)
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「で、こっちの貴族のお嬢様っぽいのがエセックス。」
「ダコタ、わたくしは『ぽい』ではなく、本当の貴族なんですのよ。」
赤色の上品な制服に黒のスカート、純白のスカーフをして、プラチナ・ブロンドの髪を丁寧にシニョンに結い上げている。飛行甲板を腕に取り付けた女性が声を上げた。
「エセックスはグランド・ブリタニカ生まれじゃないでしょ。」
「確かにわたくし自身はそうですけれど、わたくしのお母様がそこの出身なのです。」
「はいはい。」
「あ〜なんかさぁ、熊野と話し合いそうじゃない?あのひと。」
鈴谷がそっと熊野に耳打ちした。
「じょ、冗談はやめてくださいません!」
熊野が顔を赤くして抗議した。熊野は洒落な街、神戸生まれだったが、足柄、衣笠なども神戸で誕生しており、そういう人たちといっしょくたにされることを好んでいないことをからかわれていたからだ。
「あ、あの!!
たまりかねて雷が声を上げた。
「あの、私たち、まだ全然状況をわかってないんですけれど、これ、一体どういうことなんですか?私たち、ノース・ステイトと全然音信不通だって聞いていて・・・・・。」
Oh!!とサウスダコタが声を上げた。
「そうだったわね。私たちもよ。話は長くなるから、かいつまんでいうと――。」
サウスダコタが語ったところによれば、ノース・ステイトもまた、ヤマトとの通信回復作戦に乗り出すべく、準備していたそうなのである。とはいえ、ノース・ステイトは広大な土地を持つ国家であり、太平洋のみならず大西洋でもグランド・ブリタニカとの通信回復作戦、海域平定など、多方面にわたり戦線を持っていて、それぞれに手当てしなくてはならず、中々西進できなかった。
こと太平洋方面艦隊に関しては、アリゾナ、ウェストヴァージニア、メリーランドを投入したものの、深海棲艦たちの跳梁が激しく、沿岸防備で精いっぱいの状況であった。
それでも、やっとのことで東部方面から帰還してきたサウスダコタ、エンタープライズをはじめとする最新鋭主力艦隊を太平洋沿岸海域の平定に向かわせ、ついにハワイを死闘の末攻略することができた。
このあたりのところは、沖ノ島を攻略して橋頭保としたヤマト側と似ている部分がある。
今は補給を行って、ハワイを一大基地化し、さらに歩を進めてミッドウェー本島に進もうとしているところだというのである。
それを聞いて鳳翔の顔色が変わった。彼女もまたかいつまんでこれまでの経緯を語った。
「なんですって!?ヤマトが今ミッドウェー本島に攻めかかっているですって!?」
サウスダコタは目を見開いた。
「あそこは深海棲艦たちの巣窟よ!何百という深海棲艦たちがいるのよ!そこに行ったっていうの!?ど、どうしてそれを早く言わないの!?インディアナ、すぐに総司令部に連絡よ。直ちに出撃してミッドウェー本島
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