その2
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な。
「で、どうするん?」
「……どうしよっか」
10分後、なんとか合流できたのはいいけども、何もできず途方にくれる僕たち。
今わかっているのは、永瀬さんと僕の体が前触れもなく入れ替わったということだけ。詰んだ。
「青木と唯の言う事って、本当だったんだね」
「意外に世の中がファンタジーすぎてびびった」
事実は小説よりも奇なり、ですなぁ。
「でも青木くんは時間がたったら元に戻ったっていってたし、今はそこまで心配しなくてもいいはず。問題は」
「この現象が続くかもしれない、ってことだよね」
「せやな」
さっきは一人で下校中という誰にも迷惑がかからないタイミングだったからよかったけど、例えばお風呂入ってる時に入れ替わったりすると、人間関係壊れるよね。
この入れ替わりの原因と対処法を早めに見つけないと、ストレスたまりまクリスティーだ。
「とは言っても心当たりなんて何にもないしなー」
「実際入れ替わりの原因なんて分かるわけないよねぇ」
焦っても仕方ないっしょ、て事で紅茶をのんでダラダラくっちゃべる。とりあえず元に戻るまで時間を潰すことにしたのだ。頭脳労働は稲葉さんの役割なので。
あとは頼むぜ副部長という他人任せ作戦をして、しばらく時間が経った。
話の流れはどんどん変わっていき。
「そういえば北野んの好きな人って誰なの?」
「うぇーい」
拙い話題にたどり着いちゃいました。
「ななななななんのことですか」
「いや、誤魔化すにしてももうちょっと上手くやろうよ。むしろわざとなのかと思っちゃうよ?」
「さいですか、ならリテイク。んー、残念ながらいないんだよね」
「今更シラを切っても遅いんだなぁ。ネタは上がってんだよ、キリキリ吐こうか」
結局話すことになるんじゃないですか。今、切実にリバイバル能力がほしいです。
……しゃーないな。
「……名前は伏せさせていただきますが、中学の頃から忘れられない人がおります。まあ、振られたんだけどね。だから、初恋の人をいつまでも引きずっている、っていうのが正確な所かな」
「おお、なんだか切ないね……。名前はダメなの?」
「ダメ。稲葉さんなら特定出来そうだし」
あの謎の情報網が怖すぎる。
「けちー。ならさ、北野んはその子のどんなところが好きだったの?」
「全部」
即答した僕に永瀬さんは引きつった笑みを浮かべる。愛は、重い物なんですよ。
永瀬さんは気を取り直すようにごほんと咳をして問いかける。
「な、なら、好きになったきっかけとか教えてよ」
きっかけ、か。
改めて問いかけられると言葉に詰まる、けども。
やっぱり一番最初に好きになったきっかけは。
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