その1
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します」
「早く吐け。さもなければ次の『文研新聞』はまた人々の話題を掻っ攫うことになるだろう」
「待って、ねえ待って。スキャンダラスなネタはもう当分書かないんじゃなかったの」
「北野、臨機応変という言葉を知っているか?」
副部長が笑顔で部員を脅してくるんですが、おかしいよねこれ。
というか稲葉さんって情報を集めるのが好きなだけであって、情報を公開する事は嫌っていたはずだ。それを曲げてまで強請ってくるとは……なんか僕に恨みでもあるんですかね。
怖いお姉さんたちに問い詰められ、僕がついに白状しかけたとき。
割り込むように小さい扉の音を立てて、残りの文研部員である青木義文と桐山唯が、おぼつかない足取りで入ってきた。
助かった、と思うには二人の雰囲気は暗すぎて。自然と沈黙が周囲を支配した。
「……おっす。なんか元気ないね、どした?」
「いや、まあ、なんっつーかさ。とりあえず、座ろうぜ」
青木くんはたどたどしく話すと、重いため息を吐いて席に着く。桐山さんも続いて隣に座り、その対面に僕たち四人は座った。気分は面接官である。
青木くんと桐山さんは顔を真っ白にして、時折ちらちらとお互いの顔を確認し合っている。
何だろう、すごく重苦しい雰囲気です。
「おう、さっさと白状せえや。吐けば楽になるで?」
「何で似非ヤンキー風? ……でも、なんか悩んでるんだったら相談してくれよ。ある程度は力になれるはずだぞ」
僕と八重樫くんは二人を促す。
「おう、サンキュ。いや、オレ達も話そうとは思ってたんだけど、いざとなるとちょっと、な」
そう言うと青木くんは人差し指を立てて。
「最初に言っておくけど、これは別に冗談でも夢でも何でもない。さっき唯と散々確認したからな。ガチな話だ」
真剣な表情で僕たちを見た。
久しぶりに見る青木くんの真面目な顔に自然と背筋が伸びる。
青木くんは僕たちを見て小さく頷き、重々しく告げた。
「実はオレ達、昨日の夜―――魂が入れ替わってたんだ」
……マジで?
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