皇太子様への誕生祝い。
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合わせながら、
「楽しみですわ!どうしてこれを思いつかなかったのでしょう。きっとヴォルフも喜びますわ。あぁ!!ケスラー閣下、わざわざ素敵なご提案をしに来てくださってありがとうございます。」
完全に度を失ったケスラーはほうぼうの体でミッターマイヤー邸を後にしたのだった。
その後も憲兵総監は職務そっちのけであちこちうろつきまわったが、どうにもこうにもよい知恵がうかばない。だんだんと時間が立ち、夕闇が近くなってくる。
「・・・こうなれば!!」
もはや手段を選んではいられなくなったケスラー上級大将は、決意をにじませると、ある場所に向かった。
* * * * *
「・・・という次第でございまして、恐れ多い事ながら大公妃殿下の御知恵を拝借できればと思った次第で――。」
そう言上しながらもケスラーは冷や汗ものだった。何しろラインハルトの姉君に直にお願いをしに来てしまったのである。臣下としてあるまじき行為だったが、今のケスラーは追い詰められていた。手段を選んではいられない状況に追い詰められるのは、何も職務に限ったことではないのだ。
ほんの数分程度で、というささやかな要望を、アンネローゼはいとも簡単に、いや、それ以上の待遇をもって受け入れたのだった。憲兵総監は居心地の良い居間に通され、目の前には軽いティーセットがしつらえられている。この邸の主人の勧めをうけ、恐縮してカップに口を付けながらも、心のどこかで安堵している自分をケスラーは感じ取っていた。グリューネワルト大公妃殿下は聡明な瞳をもって終始ケスラーの話を穏やかに聞いてくださったのだから。
「わかりました。ケスラー上級大将、さぞ苦労されたことでしょう。」
「このようなご相談をすること自体、臣下としてあるまじきことでありますが、どうか大公妃殿下におかれましては、非才の身になにとぞお知恵をいただければと思います。」
「ええ。まさにうってつけの案があります。」
思わずケスラーは顔を上げた。この言葉を待っていたのだ!!日がな一日足を棒にして歩き、ミッターマイヤー夫人の姿に衝撃を受け、さらにその後も方々でAIL48の言葉を聞かないことはない一日だったが、やっとのことでその苦労が報われるらしい。
「して、その案とはどのような!?」
思わず身を乗り出すのを抑えられなかった。だが、構うものか!!ここまで来たからには是が非でもその案を持って帰らなくてはならない。今日から徹夜すれば何とか祝いの式典に間に合うだろう。
大公妃殿下は優雅なしぐさでソファーから立ち上がると、けぶるような微笑を浮かべてケスラーを制した。やはりカイザー・ラインハルト陛下の姉君だからだろうか、そのしぐさは静かだが犯しがたい威厳があって、ケスラーのそれ以上の動きをとどまらせた。
「さほどお待たせは致しません。少しお待ちになっていて
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